公益財団法人日本花の会

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花のまちづくり

第15回優秀事例発表会

花のまちづくりのレベルアップを図るために、 全国花のまちづくりコンクールで入賞された方を中心にその取り組みを発表していただく花のまちづくり優秀事例発表会を開催しています。

第15回 花のまちづくり優秀事例発表会 (第29回コンクール)

日程

2019年10月23日(水)

場所

日比谷図書文化館 (地下1階コンベンションホール)

花のまちづくり優秀事例発表

みんなで進める花のまちづくり ~いただきへのはじまり 富士市~
団体部門  富士市花の会 (静岡県富士市)

花と緑のまちづくり ~市の花“あじさい”が地域をつなぐ~
団体部門  特定非営利活動法人渋川広域ものづくり協議会 (群馬県渋川市)

地域を思うゆるやかな花のつながり
団体部門  アドプト・ロード・万博北 (大阪府茨木市)

花で癒され、やすらぎ、つながり、友づくり、まちづくり ~潮風を克服しての花壇づくり~
団体部門  サンセット一宮花仲間 (兵庫県淡路市)

お花が笑う みんなも笑う 優しい花の輪 つながった
団体部門  長岡市立桂小学校 (新潟県長岡市)

花のまちづくりスキルアップ

写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

魅力ある花壇づくり

公益財団法人園芸文化協会常務理事
花のまちづくりコンクール審査委員
奥 峰子 さん

花のまちづくりの啓蒙・普及のため、全国花のまちづくりコンクールの優秀事例発表会及びスキルアップ講座を企画しています。

当日配布資料(プログラム・要旨)

第15回 花のまちづくりコンクール優秀事例発表会 (第29回コンクール)

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みんなで進める花のまちづくり
 ~いただきへのはじまり 富士市~

富士市花の会 会長 渡邉 香寿美 さん

活動のきっかけと活動概要

 私たちの富士市は、豊かな自然と富士山の恵みである豊富な湧水を利用した製紙業が盛んな工業のまちです。昭和40年代の高度経済成長期には、大気汚染や水質汚濁などの公害が発生し、危機感を感じた住民は、私たちのまちの美しさを取り戻すべく立ち上がりました。

  1996(昭和41)年、二市一町の合併により新富士市が誕生し、それと歩を合わせるように、当時の生活環境の悪化を危惧し花を愛する750名が集まり、住んでいる地区の道路端や荒れた土地に花壇を作ったことが活動のきっかけです。

  富士市花の会は、2017(平成29) 年に創立50周年を迎えました。日本一の富士山を仰ぎ、緑と花を通して心と心の触れ合いを第一に考えながら住民が幸せになるように、富士市ブランドメッ セージ「いただきへのはじまり」として、市民一丸となって頑張っています。

 主な活動は中央公園などの本部花壇をはじめ、市内に40ヶ所ほどある地域の花壇の手入れを一年を通じて行っています。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

活動で努力している点

(1)原点にもどり種から育てる

 富士市花の会では、本部花壇に植える花はすべて種から育てています。花屋や業者から花苗を購入するのではなく、自分たちの手で一から花壇づくりを実践しています。花壇づくりの原点に戻ることで、花に対する愛着も一段と深まります。

 毎月第一火曜日には役員会を開き、今後の予定や課題事項について協議し、毎週火曜日を作業日として、役員が中心となって本部花壇を整備しています。

(2)オリジナリティを生かしたPR活動

 花の会の活動は、地域の人々との連携を大切にしています。花壇管理などの緑化活動は、花の会だけで行うのではなく、地域の人々の協力を得ながら行っています。また、小学校や幼稚園・保育 園の子供たちと一緒に花壇づくりを行うことで、花を育てることの大切さを伝え、優しく思いやりのある心を持って成長するよう願いながら活動しています。地域の花壇は、様々な世代の人々が集う交流の場となっています。

(3)市民活動としての花の会

 富士市花の会は、富士市の緑化団体である「みどりいっぱい富士市民の会」の中でも、中心的な役割を担っています。年2回開催される緑化祭の「緑と花の百科展」には、レストコーナーや講習会などの出展や運営にも積極的に協力しています。

 年1回の総会では、参加者に種から育てた花苗を配布しています。

 また、市民の会の事業として「花壇コンクール」がありますが、参加者として、また審査員としても主体的に関わり、市全体の緑化推進活動に貢献しています。

(4)行政や他団体との連携

  会員の高齢化による会員数の減少は、大きな問題となっています。この状況を改善するため、市議会議員や前市長などを巻き込むことで、今まで以上の花のまちづくりを推進する体制作りを構築しています。

 富士市みどりの課では、市内全域の公共花壇に予算800万円、15万株の花苗を配布しています。花の会では、これらの苗を市と連携して花壇に植栽して育てています。

前回受賞時との違い

 富士市花の会は発足当初から長年にわたり、市の発展とともに活発な活動を続けてきました。

 2014(平成26)年に現在の会長に代わり、全国花のまちづくりコンクールに応募し、優秀賞を二度いただきました。

 今回は、「いただきへのはじまり」の通り、「いただき=花のまちづくり大賞」を目標に会員一同「できる」という想いをもって臨むことにしました。まずは会員の意識改革をすることで、以前の花の会だけの活動から、視野を広げ、地域との連携を密にし、地域社会全体でよりよい環境を育てる活動に重点をおくようになりました。

 また、過去に花のまちづくり大賞を受賞した南砺市や、バラの先進地である長野県中野市を視察し、富士市には何が足りないかを研究をしました。そして、今までの一年草を中心とした花壇づくりから、宿根草や周辺の緑をうまく活かしたものに転換しています。地域の歴史や風土に調和する植物やデザインを意識した花壇づくりを取り入れています。

 さらに、花の会自ら講演会を主催し、花のまちづくりには何が必要か、多くのことを学びました。花のまちづくりを進めることは、地域社会の絆が強くなる、防犯上効果がある、人々の交流が盛んになるなど、様々な良い相乗効果が期待されます。地域との連携の意識を高めると同時に、花と緑を活かして潤いのある環境づくりの大切さを改めて認識し、今日では花と緑の調和のとれた素晴らしいまちづくりを目指して努力しています。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

活動の成果

 富士市は温暖な気候のため、一年を通じて豊かな緑や花が楽しめます。市域は東西に広いだけでなく、駿河湾から富士山へと標高差があることから、気温差が大きく花壇の手入れや花の維持が難 しく、大変苦労しています。

 しかし、会員は花が大好きなので、暑い日も寒い日も、花いっぱいで住み良いまちづくりに貢献するため、一丸となって頑張っています。

 2004(平成16)年から障害者就労支援施設鷹身工芸社との協働作業で富士西公園花壇の植付けは15年目を迎えました。市内の公園や、主要道路沿いにある本部花壇や、各地区にある地域花壇 は40ヶ所にものぼり、地域の住民だけではなく、本市を訪れる人々の目も楽しませています。

今後の展開

 私たち富士市花の会は、50 年以上と長年にわたって活動しておりますが、現状に満足せず、足りないものを研究し、常に新しいことを取り入れながら問題を改善し、これからも前進していきます。今回の全国花のまちづくりコンクールでの花のまちづくり大賞の受賞を契機に、真の「いただき」に向かってさらに努力していきたいと思います。

 そのためには地域との連携をより大切にし、日常の花壇管理を通した花と緑の溢れた潤いのあるまちづくりを目指して、他市とも交流を行いながら常に切磋琢磨し、富士市がさらに緑いっぱい で住み良いまちになるように頑張っていきたいと思います。

写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

花と緑のまちづくり
 ~市の花“あじさい”が地域をつなぐ~

特定非営利活動法人渋川広域ものづくり協議会
会長 岸 邦夫 さん

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花と緑のまちづくり
 ~市の花“あじさい”が地域をつなぐ~

特定非営利活動法人渋川広域ものづくり協議会 会長 岸 邦夫 さん

活動のきっかけと活動概要

  1998(平成10)年に協議会の設立の準備を開始し1999(平成11)年に会を設立、2000(平成12)年に法人化しました。

 2003(平成15)年に国土交通省関東地方整備局利根川河川国道事務所と渋川市、当会の三者で「ボランティアサポートプログラム」を締結しました。関越自動車道渋川伊香保インターチェンジ付 近の国道17 号線中央分離帯の環境美化のため、渋川市の花があじさいであることから、白い西洋あじさいアナベルをここに植栽し管理を始めました。その結果、雑草だらけのゴミ捨て場のような状態だった所が、白い雲のじゅうたんを敷いたような花畑に変わり、ポイ捨てが激減しました。

 2008(平成20)年にインターチェンジから北に約1.5㎞離れた東町地区の国道17号線中央分離帯でもアナベルを植栽し管理を開始しました。現在、インターチェンジ付近と東町地区とでアナベ ル街道となりました。当初は会員一同でアナベルを育てて花を楽しんでいましたが、作業中、通行者に質問を受けることが増えたことから、花をたくさんの人に楽しんでもらうために、会の設立10周年事業として2009 (平成21) 年からフラワーガイドを開始しました。

 小野池あじさい公園では「あじさいまつり」の期間中約3万人の観光客が訪れています。四季を通して花を楽しんでもらえるように隣接の里山を借り受けて、2009(平成21)年に公募した130人のボランティアが参加して、100本の桜の苗木を植栽しました。その後、下草の刈払い作業や散策道の整備、アナベルやスイセン、レンギョウ、ロウバイ、サルスベリ、あじさいなどの植樹、管理を行っています。2014平成26)年に「セーブオン桜プロジェクト」で10本の桜の木を頂戴し、小野池里山に植栽しました。2015(平成27)年に桜が咲き始めたことから、「小野池桜まつり」を開催し、地域の皆様と花見を楽しんでいます。

 2016(平成28)年からはJR 渋川駅前広場の花のプランターの手入れを開始しました。JR渋川駅、地元自治会や商店街、地域のグループの協力を得ています。同年、ぐんま花の駅ネットワーク推進協議会に加盟し、当会としては「JR渋川駅前広場」と「小野池あじさい公園」2つの花の駅を登録しています。この2つの花の駅を結ぶ平沢川緑道にも同年、地元3 自治会の方々に協力をいただき、あじさいを植栽しました。

 2019(平成31)年に設立20 周年事業として、第1回と第2回の「駅からまち歩き㏌渋川」でJR渋川駅前広場から平沢川緑道を通り小野池あじさい公園までを歩くイベントを開催しました。花を見ながら歩く健康づくりの活動です。小野池里山の市民花壇にイベントの度に参加者にアナベルの植栽体験をしてもらい、再来を促しています。

 2009(平成21)年から花の種まき教室を開催し、現在は年間12回実施、うち1回は一般対象で11回は幼稚園や保育園で行っています。一般の方々や園児が種まきして育苗した花苗が地域を飾り、花を介した交流につながっています。

 2009(平成21)年からグリーンカーテン普及活動を実施しています。ゴーヤ苗の無料配布、イベント「グリーンカーテンを育てよう」の開催、グリーンカーテン写真展人気投票、同写真展、ゴーコン料理*教室などで緑のまちづくりを行っています。

* ゴーコン料理・・・グリーンカーテンで収穫したゴーヤと渋川市が収穫量日本トップクラスのこんにゃくを使った料理のこと。ゴーコン汁は商標登録済。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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活動で努力している点、前回受賞時との違い

 渋川市の2ヶ所の玄関口である渋川伊香保インターチェンジ付近とJR渋川駅前を花でお出迎えしています。また、イベント開催やガイド活動を行うことで、より多くの人が花のまちづくりに関わってもらえるようにしています。

 前回、2015(平成27)年に優秀賞を頂戴しました。受賞して以来、活動場所を増やすとともに、花を活用して健康づくりや街中のにぎわい創出につながるようなイベントを開催しています。渋川 市をはじめ群馬県に多くの人が花を見に訪れてもらいたいと思い、ぐんま花の駅ネットワーク推進協議会のスタンプラリーに参加しています。

 幼稚園・保育園での花の種まき教室や小学校でのグリーンカーテン作成指導や調理実習など、子供たちへの花育による情操教育と世代間交流を行い、花のまちづくりが次世代につながるように努めています。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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活動の成果と今後の課題

 小野池里山は活動当初荒れていましたが、作業によりきれいになってきており、緑の中で季節の花を見ながらの健康増進や散策に訪れる人が増えてきました。また、会員同士の連帯感やイベント参加者の間で世代を超えた交流がうまれてきています。会の活動に対して地元企業や自治会のご理解とご協力をいただけるようにもなり、市の花あじさいが駅や公園、国道などに植えられたことで、渋川市のイメージアップにもつながっています。

 活動20周年に頂戴したこの賞を会員一同で励みとし、今後も花のまちづくりを進めてまいります。

写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

地域を思うゆるやかな花のつながり

アドプト・ロード・万博北 代表 坂東 淳子 さん

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地域を思うゆるやかな花のつながり

アドプト・ロード・万博北 代表 坂東 淳子 さん

活動のきっかけ

 1970(昭和45)年の大阪万博の跡地は大阪府北部、吹田市の東端で茨木市に隣接しています。現在は記念公園として美しく整備され、イベントが多く開催されるので、記念公園を一方通行で囲む全長約5kmの万博外周道路(以下、外周道路)やそこに出入りする道路は信号待ちやゼブラゾーンに駐車する車から排出される塵が多く、見るに見かねていました。

 一方、街路樹や万博日本庭園、外周道路北側にある大阪大学の木々の落葉が、施設の外側に沿った溝に溢れ、歩道や外周道路に並走する自転車道にも溜まっていました。また、記念公園周辺は丘陵の開発地で草木が多く、特にクズは道路法面や分離帯からつるが這い出て、歩道や自転車道を狭めている事態でした。

 そこで、除草清掃活動が対象の大阪府のアドプト・ロードの認定を受け、外周道路北側半分の2km 余りと北へ続く府道1号線の1km 程の全長3.1km を協定区間とした「アドプト・ロード・万博北」 が発足しました。

 2005(平成17)年9月4日の認定証交付式には15名が参加しました。参加者の内訳は、阪大病院前の不法投棄が絶えなかった緑地帯や府道法面(以下、病院前花畑・駐輪場南花畑・みのり橋北詰斜面) に花を植えていた近隣住民3名、外周道路東側の千里リサイクルプラザ(以下、プラザ)正門前のゼブラゾーンに駐車する車が出す塵対策で大阪府にガードレールを設置していただいたプラザ市民研究員4名、茨木市こどもエコクラブ4名、地域住民4名です。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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活動概要

 発足後3年程は第1日曜日に外周道路清掃の定例会を行っていましたが、日時の拘束、高齢化等で徐々に参加者が減り辞めました。一方、殆ど毎日、地域の除草清掃や花畑の手入れをするメンバーもいました。また、茨木市が花を植える活動を支援する年4回の花の配布制度に申し込み、2006(平成18)年5月21日から110 株を全員で病院前花畑と駐輪場南花畑へ植えました。

 病院前花畑は徐々に花壇もメンバーも増え、現在は60区画になり11名で担当場所を決めて、出来る時に来て好きな様に作業をしています。

 現在、茨木市配布の花は50株に減り10名で分けて植え、種から育てた苗、代々の担当者が残した花、挿し芽、株分け、落種苗、購入した苗、近隣住民から不要な苗をいただくなど、種類が豊富で統一感が無い様ですがメンバー1人1人の綺麗にしようという思いで調和のある花畑になっています。

 水はモノレール阪大病院前駅下の水栓からいただき、近所の工務店から提供された浴槽に入れています。

 この様な流れの中で、メンバーそれぞれに掛かる費用は個人持ち、会議は花畑で会った時の立ち話程度、会則は大阪府作成の協定書や実施マニュアルがあるので設けず、会費、会議、会則、定例会が無い活動となりました。行政任せでなく自主的に地域を綺麗にしようという思いの花を介したゆるやかなつながりが、楽に長く活動が続いている秘訣と言えます。

 一方で2005(平成17)年から3年間、大阪府の菜の花プロジェクト参加をきっかけに、次々と整備した交通島や花畑、2007(平成19)年3月開業のモノレール下で傷むクチナシ桝、阪大病院前駅から豊川駅までのモノレール下で塵が多い分離帯の草に負けたマツバギク58桝は、広大で敬遠され担当者が増えず、今年85歳の開墾者が1人で12年間整備し続ける2ヶ所の数百mの分離帯を含め、7名ほどで担当しています。

 人手不足で除草や手入れが間に合わない時もありますが、四季折々の花が咲きます。

 移植時のみ公園等でペットボトルに汲む水を使い、それ以外の灌水は雨水のみですが、落葉や除草した株を土づくりに利用しているので花は元気です。

活動で努力している点

 ●手間が掛からず花期の長い花を選びます。

 ●雨の前後に花を植え水道の使用を減らしています。

 ●ホームページをほぼ毎日更新して広報に努めています。

活動の成果

 ●ポイ捨てや不法投棄の塵が減りました。

 ●落葉や除草ガラを土に戻しています

 ●道路の見通しが良くなりました。

 ●「万博外周は市民が手入れする通年花いっぱいのランニングお薦めコース」「花が多いからここに住んだの」「花で生きる力が湧きました」等の言葉をいただきます。

 ●写真を撮る方、絵を描く方が訪れます。

 ●病院や老人施設の方に喜ばれています。

 ●花が通行人との会話や笑顔を増やします。

 ●あげますコーナーの花が役立ちました。

 ●メンバーの健康維持に役立っています。

 ●メンバーのホスピスの役割をしました。

 ●蝶や虫が増えました。

 ●2008年菜種60kgを収穫しました。

 ●花で付近の犬の糞の放置を無くしました。

 ●ヌスビトハギの種が衣服に着く歩道脇を花に代えました。

 ●歩道脇垂直壁の嵩張るヘデラから根元を括った薄いツルニチニチソウに代え歩き易くしました。

 ●菜の花が理科の教材になりました。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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今後の展開

 地域の方々に喜ばれていますので、無理せず笑顔で続け、自然の成り行きも受入れ、更に綺麗にしようと思います。

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花で癒され、やすらぎ、つながり、友づくり、まちづくり
 ~ 潮風を克服しての花壇づくり ~

サンセット一宮花仲間 代表 高田 美千代 さん

活動のきっかけと活動概要

 ヨーロッパ旅行で目にしたイングリッシュガーデンに魅せられ、2003(平成15)年淡路景観園芸学校の「まちづくりガーデナーコース」を受講したことが大きなきっかけとなり、花と緑で淡路の景観を美しくしよう!と仲間とともに、2004(平成16)年から沿道の空き地で花壇づくりを始め、花のまちづくりの第一歩を踏み出しました。2006(平成18)年からは淡路オープンガーデンに参加し、淡路島の緑化活動を盛り上げています。

 “楽しみながらみんなでまちをきれいにしよう”を合言葉に、夕日の美しいまちのシンボル「サンセットライン」(海岸沿いの県道西浦線)の景観性の向上などを目指して花壇づくりをしています。

 2012(平成24)年に県道拡幅にともない新しい沿道花壇(サンセット花壇)の植栽管理を引き受け、2016(平成28)年秋からまた新たに以前より気がかりだった地元西浦線の荒れ果てた沿道公園(郡家公園・室津公園)の緑地再整備に取り組みました。また、不法投棄防止も兼ねてゴミステーション付近にプランターを設置するなど、地域に密着した緑化活動を心がけています。

 現在、会員数20名、活動歴15年、管理花壇面積は4ヶ所で合計約440㎡になります。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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活動で努力している点

(1)花壇づくりの留意点

 周囲との調和がとれ、四季を感じられる花壇づくりを基本に、ナチュラルでよりきれいな花壇づくりを目指しています。無理なく継続的に維持管理ができるよう、地域の気候風土に合った植栽計画を立て、地元の特産である淡路瓦や自生植物も取り入れ地域の独自性を加味しながらデザインにもこだわり“キレイ”を追及しています。

 多年草・宿根草類をベースにローメンテナンスで持続可能な設計、全体のバランスを考えながら1年草をプラスし、沿道を明るく飾れるよう、さわやかでカラフルな配色にして、一年中花が絶えないようにも配慮しています。

 メンバーの方々にできる限り負担のかからないよう、雑草対策や夏の灌水労力軽減のため有機マルチの施用など対策を講じて、花壇は海岸に近いため潮風に強い植物を選択して植栽しています。

(2)前回応募時との違い

 前回応募(入選)後の2016(平成28)年秋から、管理が行き届かず雑草が生い茂り、ゴミが散乱状態で景観を大きく損ねていた県施設“緑の道しるべ”「郡家公園」「室津公園」を私たちで何とかきれいにしよう!と立ち上がりました。

 アドプト事業からの助成(資材・植物)を活用して、花壇の整備・植栽計画・雑草抜き・土壌改良・整地・植え付けとメンバー総動員で行政など様々な方面からの協力も仰ぎながら半年をかけて行いました。

 苦労している点は、特にこの場所は海岸沿いなので、潮風や荒天時には直接海水にさらされる厳しい環境条件の下で耐え、健全に育ってくれる植物の選択には、試行錯誤を繰り返しながら3年を要し現在の花壇の姿があります。

 最近では、花壇面積が増えるにともない維持管理の手間もおのずと増えたので、地域の人にご理解ご協力をお願いし、5名の新しいメンバーが加入してくださいました。

活動の成果と波及効果・今後の展開

 一年一年の積み重ねが自然とレベルアップに繋がっていったのか、花壇をバックに記念写真を撮る方やオープンガーデンにリピーターで来てくださる方も定着し、多くの花友ができました。喜びとともに花が結んでくれた縁に感謝しています。

 また、沿道花壇を含めタイヤプランターを設置した付近では、不法投棄が減り以前よりきれいに利用してもらえるようになったのはとても嬉しいことです。特に、新たに再生に着手した緑の道しるべ「郡家公園」では、車を止めて花や景色を眺める人たちが急増し、“すごいキレイになったネ”と大勢の方から賞賛の声をいただきました。

 また、キレイは伝播するのか?隣接地域の放置花壇やプランターが、他団体によって緑化再生へと広がりを見せています。

 花のまちづくりの輪が広がり地域活性化の一助になればと願いながら、今後はさらに技術の向上を図り、花の少ない時期にも見栄えする植物を配するなど、今までの活動以上にきれいな花壇づくり、維持管理に努めたいと思います。

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お花が笑う みんなも笑う 優しい花の輪 つながった

長岡市立桂小学校 校長 今成 満 さん

活動のきっかけと活動概要

 児童の情操教育を高めようとスタートした桂小学校の花栽培活動は、今年59年目、来年度60年目を迎えます。「花を育て 花に学ぶ」を合言葉に、本気で学校を応援する方々に支えられ、学校地域が一体となった息の長い活動を続けています。祖父母から児童三世代にわたる取り組みのため、「自分たちも子どもの頃に花を育てた」経験や愛着が活動をより豊かにしています。校区の古墳遺跡にちなんだ「まがたま花壇」は、児童会の花委員会でテーマを決め、異なる年齢の「なかよし班」毎にデザインした花栽培活動を行います。令和元年度のテーマは「優しさの輪」。花を通して地域とつながり、学校やふるさとへの温かい思いを広げようという児童の気持ちが活動のベースとなりました。

 一方で、少子化により児童数は現在39名です。活動には、「花の会」を中心にした地域ボランティアの協力が大きく係わっています。ほぼ毎週ある「ありんこ活動」は、児童・地域が協働で花の世話をする場です。「花の会」と教職員が担当する花壇と合わせ、全体で一つの花の景観を創り出します。それらを生かした保育園や福祉施設との交流も大切な教育活動です。

  • 写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会
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活動で努力している点

『くりかえし くりかえし 水やり 草とり 花がらつみ 花の言葉きこえてくるよ』

 花栽培活動は、命の尊さ、命への慈しみの心を育てる大切な場です。花を大きく育て、そして、長く美しく咲かせるために、季節に応じた世話の積み重ねが欠かせません。全校児童は登校すると真っ先に花壇に向かい、毎朝10分間の世話をなかよし班で行います。

『くりかえし くりかえし 芽が出て 花咲き 種のこす 新しい命つなぎます』

 種から花を育てる体験は、雪国にある当校にとって大切な活動です。秋に種を播き、雪に覆われる期間は、気温に注意して育てます。そして、卒業式と入学式を飾ったビオラが、春の玄関を彩ります。盛り上がった豊かな花の量に、来校者も驚きの声を上げてくださいます。児童自慢の春の玄関です。夏に向かう頃、ベゴニアに植え替えます。入学してまだ間もない1年生も、上級生に苗の扱い方を教わって丁寧に植えていきます。

『やさしい花の輪 つながれば こんなにあったかい気持ちになれるなんて』

 地域の福祉施設との交流を年に2回実施しています。入学してから6年間、合計12回の訪問です。施設の花壇の草取りと、自分たちで育てた花の苗をプレゼントします。夏休みが終わった初秋、施設に入所している方が花壇の鑑賞会に来校すると、顔見知りになった児童は喜んで花壇を案内し、グリーティングカードをプレゼントします。自分たちの気持ちが伝わったうれしさを味わうことができます。

 また、新1年生として入学してくる保育園の年長児に、入学を楽しみにしてくれることを期待して、ジニアの苗を毎年プレゼントします。園児が小学校に体験入学に来た際にはお礼を言ってくれるので、児童は自己有用感を高めることができます。

『人の和』をもっと広げたい…新しい取り組み

 現在、伝統の花栽培活動の課題として、ボランティア団体「花の会」メンバーの高齢化に伴う減少と、教職員の研修や地域指導者の育成があります。今年度、新たに住民がオープン参加できる「花づくり大学」を開講しました。地域の花活動の育ての親である方を指導者として迎え、年に4回、花の世話や増やし方に関する智恵や技を学びます。受講者の希望も取り入れながらメニューを組み、地域の花づくりが一層盛んになることを目指しています。

活動の成果

 花栽培活動60周年に向け、児童が日常の思いや願いを歌にして発信する計画を立てました。児童一人一人の取材をなかよし班毎の話し合い活動にいかし、高学年がメンバーの詩を紡ぎながらまとめていきました。実は、この原稿の『 』の言葉は、全て完成した歌詞からの引用です。入学して6年間積み上げてきた花栽培活動が、どんなにか児童の感性や情操を高めたか、教職員も驚いています。

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今後の展開

 花栽培活動は、児童の情操教育、キャリア教育に大変役立ちます。一方で、児童の減少に伴う教職員の減少やボランティアの減少は、すなわち花を育てる労力の減少です。また、気候変動も世話を大変にしている現状があります。花づくり大学等による理解支援者を広げる取り組みとともに、持続可能な活動への転換が必要になっています。

 栽培する花の品種の工夫、スプリンクラー等の施設の充実による作業の軽減化が考えられます。また、保護者の積極的な参画もお願いし、心癒される花栽培の良さを子どもとともに体験してもらいながら、一層、地域ぐるみの活動として広げる取り組みを進めています。さらに、学校施設の安全管理を踏まえながら、市民に愛されるオープンガーデン化も模索する予定です。

花のまちづくりスキルアップ講座

写真:花のまちづくりコンクール優秀事例発表会

魅力ある花壇づくり

公益財団法人園芸文化協会常務理事
花のまちづくりコンクール審査委員
奥 峰子 さん

[略歴]
恵泉女学園 園芸生活学科卒業。ベルギー カルムタウト樹木園 及び 英国王立園芸協会 ウィズレーガーデンにて研修。東京ランドスケープ研究所を経て、1990年に有限会社 ホリーホックガーデンを設立。恵泉女学園園芸短期大学 非常勤講師を務める。「‘90国際花と緑の博覧会」において優秀賞・金賞を受賞。「NHK 趣味の園芸フェスティバル」(銀座松屋) のメインディスプレイを長年にわたり担当、「NHK 趣味の園芸」の講師も務めた。