全国花のまちづくりコンクール

第23回(2017年)全国花のまちづくり福井大会

写真:メイン会場のひとつ、福井駅前の「パピリオン」には花の巨大オブジェが!

テーマ 「花いっぱい笑顔あふれるハピネスふくい」

2017年6月3日・4日の両日、福井県福井市で「全国花のまちづくり福井大会」が開催されました。
花のまちづくりを全国的に普及、定着させるために開かれるこの大会は、今回で23回目となります。
メイン会場とサテライト会場で多彩なプログラムが催された中から、「第26回全国花のまちづくりコンクール」受賞者による事例発表をご紹介します。

事例発表

熊谷哲・恵子(兵庫県姫路市) 《国土交通大臣賞》

「里山とオープンガーデンが融合した花のまちづくリ」

自宅での庭づくりは30年前から始め、現在の場所に転居してから17年になります。夫婦ともに仕事と介護を抱えているため、庭の維持管理が楽なように宿根草や花木、ハーブ類を多く植え、農薬をほとんど使わずに環境にも配慮した庭づくりを心がけています。

10年程前には自宅のすぐ近くまでイノシシが現れるようになり、里山整備の必要性を感じて、長年放置されていた隣接する裏山の一部を購入し、放置ゴミや雑草の除去、間伐を行いました。現在では約2万㎡を整備し、地域の方も安心して行き来できる散策路には、ツバキ、アジサイ、桜など多種の花木やモミジを植えています。地域の子どもたちが遊びを通して緑や生き物に触れ、生物多様性などの環境学習ができる里山ガーデンとして常時オープンしています。

地元自治会とも巡携を強化し、名所めぐりウォーキング会が開かれているほか、里山ガーデンを活用した講座や大学の講義、フィールドワークも開催しています。学生団体の活動にも利用されており、環境教育の実践の場として、また建築系の学生たちはツリーハウスやつり橋、遊具などを作成し、子どもたちに喜ばれています。

オープンガーデンを開催することで多くの人々と交流を深め、花づくりとまちづくりの輪が広がっています。放置され荒廃した里山を再生させ、自然と共生する場を作り、大人には花と緑で安らぎを、学生には学びを、子どもたちには白然の良さを体験できる場を提供できました。里山内のビオトープではモリアオガエルの産卵が毎年見られ、貴重な種の保全にも貢献し、低木常緑樹の伐採で里山の植物体系が是正され、植物の多様性も増してきました。

今後はこうした成果をもとに、地元自治体ともさらに協力して仲間を増やしていきたいと考えています。私設の里山公園として多くの方々に利用していただいていますが、広い里山は管理の負担も増しているため、里山整備も含めた活動を託す次世代の方を育て、持続可能な社会を目指したいと思っています。

  • 写真:自然と人との共生を考えた庭づくり
  • 写真:里山では子供たちも花植え作業

花の郷づくり実行委員会(福井県福井市) 《審査委員会賞》

「1億本が咲き誇るコスモスの名所が地域の誇リを育む」

一軒の晨家が休耕田にコスモスを植えたのをきっかけに、1994年から江上・御所垣内地区の農家の組合で休耕田のコスモス畑づくりが始まりました。現在では17haに1億本ものコスモスが咲き誇る「宮ノ下コスモス広苑」として知られるようになり、地区住民や県内外から来訪する人たちが、心豊かに、穏やかに過ごせる癒しの空間として楽しまれています。

世界のコスモス30種類が植えられた広場は、宮ノ下千寿会(高齢者)が管理しています。除草などの作業が多く、工夫しながらの取り組みですが、迷路づくりや種まきなどをイベントにすることで、たくさんの子どもたちも参加してくれます。秋のコスモスまつりは地区の全住民が参加して行われ、県外からも1万人以上が訪れるほどの大人気イベントとなりました。

宮ノ下は小さな地区で、23年前にはほとんど知名度はありませんでしたが、この23年問で「コスモス」と言えば「宮ノ下」と言われるようになりました。コスモスは地区の宝となり、地域を愛する心に繋がっています。「すんでいて良かった官ノ下 すみたくなる町宮ノ下」という標語がぴったりです。

休耕田での栽培のため天気に左右されやすく(特に台風が心配)、毎年お天気だのみではありますが、まつりの時期にはそば同好会の手打ち蕎麦賞味会、コスモスの押し花体験、地区社協の福祉まつりなど各種団体が力を合わせています。地区をあげての活動によって、地域住民の繋がりを深め、地域への誇りが育まれるという大きな効果がありました。

また、コスモスと同時期に九頭竜川堤防沿いに桜の苗木も植えられ、大きく育った桜の木の下でお花見会を開催するようになり、地区住民が春のひとときを楽しんでいます。

  • 写真:約1億本が咲き乱れる「コスモス公苑」
  • 写真:迷路種まきには子供たちも多数参加