日本花の会

桜の名所づくり

第31回  全国さくらシンポジウムIN 千代田

第31回 全国さくらシンポジウムIN 千代田 ~育てよう 咲かせよう 千代田のさくら~

平成24年度の全国さくらシンポジウムは東京都千代田区で開催しました。

全国さくらシンポジウムとは

写真:全国さくらシンポジウムとは 日本花の会では、1982年より全国の桜研究家や学識経験者、桜愛好家、さらに桜の名所を持つ自治体の関係者の方々に呼びかけ、「全国さくらシンポジウム」を開催してきました。
当初は研究者だけの集まりでしたが、1986年から市町村との共催となり、 開催地に関連するテーマを掲げ、社会的にも意義あるものになりました。
各地で実践されている桜の名所づくりの取組み事例の発表を通じて、住民と行政が一体となった 地域の観光振興や景観美化などの地域づくり、まちづくりが全国各地へ拡がっていくことを目指しています。

全国さくらシンポジウムIN 千代田 概要

◆日程:

2012年4月5日(木) ・6日(金)

◆会場:

日本教育会館 一ツ橋ホール(千代田区一ツ橋2-6-2) 他

大会プログラム ① 5月14日(土)日本教育会館 一ツ橋ホール

◆記念講演

写真:記念講演 『桜ササヤク』
城戸 真亜子 氏 (俳優・洋画家)

◆活動報告

「さくら再生計画の仕組みとさくらサポート活動」
千代田区まちづくり推進部道路公園課(さくら連絡会事務局)
写真:「さくら再生計画の仕組みとさくらサポート活動」  千代田区まちづくり推進部道路公園課(さくら連絡会事務局)

千代田区の桜は樹齢50年が過ぎ老木化が進み樹勢も衰え、その対策が求められていました。そこで平成16年の3月さくら憲章を策定し、子どもたち、学生、住民の方々、NPOを含む企業や樹木医などの専門家、また国や東京都などの管理者が一緒になって、区の花さくらを保全する仕組みを構築して桜の再生事業に取組んでいます。

さくら再生事業は大きく分けると、桜管理者や所有者が取組む桜再生事業、住民やNPOが行うサポーター事業への助成、それを支えるさくら基金の3つの柱で構成され、その全体を区の花さくら連絡会が統括するという方法で運営しています。

さくら連絡会は、学識経験者、区内の各種団体の代表などの25名で構成され、道路公園課が事務局となって年に一回開催しています。この会議ではさくら再生計画の進捗状況や各事業の成果や課題、さくら基金の運営状況が報告され、様々な意見交換と情報の共有が図られています。さくら基金は平成17年に区の補助金で設立されました。その後、多くの方々のご寄付やサポーターの会費、各種イベントでの募金で集め、公益信託制度を活用して運営しています。その活用においては公正を期すため、学識経験者や区民の代表で構成される基金運営委員会というものを設置して審査を行っています。

さくらサポーターは公募で選ばれ、その第一号は女優の沢口 靖子さんです。現在、個人601人、法人96法人が登録されています。平成21年度には5周年の記念事業として、サポーターとしての知識を深め自主的な活動の担い手になってもらうためのさくらスペシャルサポーター養成講座を開講しました。

千代田区ではこの桜の保全活動で培ったノウハウを活用して、「豊かな緑を育むための都市緑化植物ガイドライン」を策定し、都市内の緑の活用を提言しています。より質の高い緑がある千代田区を目指す千代田区を今後もご支援賜りますよう宜しく願い致します。

「小学生のさくらの成育量調査」
千代田区立富士見小学校 4年生児童
写真:「小学生のさくらの成育量調査」千代田区立富士見小学校 4年生児童
写真:「小学生のさくらの成育量調査」千代田区立富士見小学校 4年生児童

私たちは千代田区立富士見小学校の四年生です。昨年春から一年間、学校近くの外堀公園で8班に分かれて年に4回桜の観察調査を行いました。

5月には花数調査の基礎として、東西南北の枝張や幹の太さ、前年に伸びた枝の長さなど、桜の大きさを計測しました。花は散っていましたが、緑色の葉っぱがいっぱいあって綺麗でした。9月には桜の生育度・生育環境を調査しました。生育度では木の形、枝・葉・幹の様子を、生育環境では日当たり・枝を張る空間・土の状態・益虫の有無を観察しました。葉が赤や茶色に色づき、豹柄の葉っぱも見つけてビックリしました。11月には5月と同じように木の大きさを測りました。メジャーで枝の端から端まで測るのは大変でしたが、春から枝張が1.5m、枝が9㎝も伸びていることに驚きました。3月には葉芽、花芽を調べ、今年もまた元気に育つように肥料をあげました。

この観察調査を通して、桜が元気に成長するには肥料を与えたり、剪定したりして、良い土や日当たりなどの条件を満たしてあげることが必要だと分かりました。そして、大きく元気に育ち綺麗な花を咲かせてほしいという周りの人の気持ちが必要であることを知りました。

平成24年春、私たちは満10歳を迎えました。20歳までの道のりのちょうど中間点にお父さんやお母さんを呼んで学校で1/2成人式を行いました。私たちも桜と同じ整えられた素晴らしい環境で周辺の人々に温かく見守られながら成長していることに改めて気づくことができました。

「市民と樹木医のさくら保全活動」
NPO 法人東京樹木医プロジェクト 和田 博幸 氏
写真:「市民と樹木医のさくら保全活動」NPO 法人東京樹木医プロジェクト 和田 博幸 氏
写真:「市民と樹木医のさくら保全活動」NPO 法人東京樹木医プロジェクト 和田 博幸 氏

NPO法人東京樹木医プロジェクトでは、樹木医という専門家の立場から千代田区にふさわしい桜景観の創造に協力しています。千代田区との関係は、東京樹木医会として平成14年度に保存樹現況調査を実施したのがきっかけで、区の花さくら再生計画の策定にも専門家の立場として参加しました。その後、桜の樹勢診断やさくら教室を通じて千代田区の桜の再生や更新、保全などの活動に継続的にかかわっています。

桜の樹勢診断では区が定めた桜の標準木110本を診断・観察し、将来に向けての管理指針を提出しています。昨年は台風15号による倒木などの被害見られ、根を張れる範囲が狭いことや枝にできる潰瘍状のコブが広がってきていることが懸念されました。さくら教室ではさくらサポーターを対象に桜に触れる機会を増やして関心を持ってもらうことで、桜の保全につなげていく取組みを実施しています。中でも人気があるのは花数調査です。染井吉野は1つの花芽から4個程度花をつけるのが通常で、これより多いと健康、少ないと衰退しているという指標になります。秋には根元保護のためのリュウノヒゲの植栽や樹勢診断の体験を実施してきました。

またさくらサポーターや他の地域で桜の保全に取組んでいる住民の皆さんとの交流を通じて、共通の課題のようなものがわかってきました。メンバー確保や世代交代、資金などの組織運営上の課題、保護と利用の両立などの課題、保全活動の技術的な課題などです。その一方で、桜は古くから地域に親しまれて愛されていること、桜祭りなどの既存の組織が整っていること、関心を持つ人が多く住民や行政の理解が得やすいことなどの桜が持つ潜在性も見えてきました。私たちは樹木医のNPOとして、各団体をつないだり、情報を整理・発信したり、技術的にサポートする役割を担えることがわかり、平成20年度には桜を守る住民活動の手引書「さくらを守る」の冊子を作成しました。これまで東京樹木医プロジェクトはさくらサポーターの皆さんとのかかわりを通じて成長してきました。これからも桜を通じて一緒に成長していければと思います。

「真田濠の植物調査」
上智大学環境サークルアングルS 塚本 啓太 氏
写真:「真田濠の植物調査」上智大学環境サークルアングルS 塚本 啓太 氏

真田濠は上智大学の学生にとって学内生活の一部となっている身近な場所です。入学や卒業のシーズンになると私たちを鼓舞するように桜が咲き誇ります。桜の時期が終わると静けさをとり戻しほとんどの人が関心を寄せませんが、ノアザミ、ワレモコウ、ツルボ、ツリガネニンジンなどの花が土手のあちらこちらで咲き始め、桜以外の多くの植物が共存していることが分かります。アングルSでは区の花さくら再生計画の策定以前から上智大学に隣接する真田濠の環境をテーマとして活動を行ってきました。昨年の秋、この豊かな野草類がどのような植物で構成されているのか区民の皆さんと観察会を開催しました。

クロマツは江戸時代に木材や薪などの利用のために植栽され、昭和50年代に法面の復旧でも植栽されました。サクラは昭和30年代を中心に記念樹として植樹され、ヤマザクラ、エドヒガン、染井吉野、関山、普賢象、紅枝垂、八重紅彼岸があります。自生している植物では、アカマツ、エノキ、ムクノキ、イボタなど高木やアズマネザサ、ススキなどの武蔵野の雑木林の構成種がみられました。また100種以上観察された植物種の中には、都内では珍しいカントウヨメナやアキカラマツ、ツリガネニンジンの群落も確認でき、ノアザミ、ヤマハッカ、ワレモコウなどの希少種も生育していました。

桜については、区のさくらサポーター事務局と一緒に秋の樹勢調査や春の花数調査、幹を食害するコスカシバの防除を実施しています。フェロモントラップを用いたコスカシバの定点調査では、個体数が減少し防除の効果が表れていることが確認できました。

区民の方と身近な緑と関わって得たこの体験を新鮮な記憶として残しておくため、今後も土手の植物とかかわっていきたいと思っています。

「千鳥ヶ淵緑道の環境美化活動」
さくら美守り隊 窪田 憲子 氏
写真:「千鳥ヶ淵緑道の環境美化活動」さくら美守り隊 窪田 憲子 氏
写真:「千鳥ヶ淵緑道の環境美化活動」さくら美守り隊 窪田 憲子 氏

さくら美守り隊の活動母体は、ちよだ環境ボランティアという団体で15年前からゴミの減量やリサイクルなどの啓発・普及を展開してきました。ゴミ山の中で咲く千鳥ヶ淵の桜に心を痛め、千代田区の中でも特別なこの場所で区民として何かできないかという思いから、千鳥ヶ淵のお花見で発生したゴミの分別に取組み始めました。活動を進めていくうちに参加ボランティアの方からゴミゼロの発案があり、行政との度重なる調整とこれまでの実績もあってゴミ箱の撤去に至りました。その後も緑道内での出店や敷物の禁止や禁煙などが実現し、他の桜の名所との差別化が進み、観光客が増加してきています。

さくら美守り隊の活動は、さくら祭りが開催される約10日間、ゴミの持ち帰りやシート敷き禁止、禁煙と書かれたプラカードを持ってお花見を楽しみながらゴミを拾うことです。桜を楽しんでいる方々に迷惑がかからないように、大きな声での呼びかけや看板は設置せず、自発的な気付きを大切にしていくことを心掛けています。できる時にできる時間だけ参加するという形で、企業や区外からも多くの方々が自主的に参加してくれています。リピーターが多いのも特徴で、参加者の増加によって活動範囲が広がってきています。ボランティア募集の呼び掛けはしていませんが、さくら祭り終了後に「さくらが 咲いたら千鳥ヶ淵」というキーワードを添えてお礼状を出しています。この緩いつながりが活動の継続につながっていると思います。

今年からさくらスペシャルサポーターに手伝っていただき運営委員会を立ち上げました。緩やかなつながりを大切にし、今後もゴミのない千鳥ヶ淵が維持できるように活動を続けていきたいと思います。今年は小金井公園でも同じような取組みが始まったことを知り、うれしく思います。「さくらが 咲いたら千鳥ヶ淵」皆さんのお越しをお待ちしております。

◆全国さくらシンポジウム会場の様子

  • 写真:会場の様子
    会場の様子
  • 写真:オープンガーデン サン・フラワー宮崎
    次回開催地 小松市の皆さん

◆全国さくらシンポジウム懇親会

  • 写真:開宴前の雅楽演奏
    開宴前の雅楽演奏
  • 写真:乾杯の挨拶
    乾杯の挨拶
  • 写真:懇親会の様子
    懇親会の様子

◆全国さくらシンポジウム現地見学会

  • 写真:現地見学会の様子(千鳥ヶ淵緑道)
    現地見学会の様子(千鳥ヶ淵緑道)
  • 写真:現地見学会の様子(新品種“舞姫”)
    現地見学会の様子(新品種“舞姫”)
  • 写真:現地見学会の様子(北の丸公園)
    現地見学会の様子(北の丸公園)
  • 写真:現地見学会の様子(千鳥ヶ淵緑道)
    現地見学会の様子(田安門)