日本花の会

桜の名所づくり

桜の園芸品種認定制度

桜は変異性に富んだ観賞性が高い樹木であることから、現在も新たに発見または育成された桜が新品種として発表されており、 河津桜による桜名所地など新しい園芸品種は地域の活性化に大きく貢献しています。 当会では、平成25年度より桜の新しい品種を活用して名所づくりを進める住民団体や地方自治体をサポートすることを目的とした 「桜の園芸品種認定制度」を設けました。この制度は、新しい桜を名所づくりに活用するに当って、その名称を整理するとともに品種の保護や発展に寄与するため、 当会で特性を調査した上で園芸品種として認定するものです。認定は当会の規程に基づいて書類審査、標本審査、現地審査を経て認定し、認定された品種は当会のホームページや会報などで公表します。

申請に関する詳細については下記までお問い合わせ下さい。

〒307-0044 茨城県結城市田間2217 日本花の会桜見本園
TEL:0296-35-0235 FAX:0296-35-3385

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認定品種の紹介

(認定番号 第014号) 蓬莱桜 ホウライザクラ Cerasus × kanzakura ‘Horai’

蓬莱桜
品種特性詳細
写真提供 中村 裕三 氏
平成30年10月8日認定。 申請者 防府市
この桜は山口県防府市立向島小学校(防府市大字向島775)の正面玄関前に植栽されている早咲きの品種で、1920年頃に卒業記念として植樹されたともいわれています。1935年頃の記録にこの桜の存在が確認できることから樹齢は約100年以上とされ、「防府市立向島の寒桜」として、2011年に山口県の天然記念物に指定されました。樹の大きさは、樹高9m、幹周2.8m、枝張は最大約18m、寒桜類の品種としては極めて大木です。千葉大学・中村郁夫教授によるDNA解析の結果や形態的特性からヤマザクラとカンヒザクラが関係して生じた品種と推定されます。類似する既存品種との比較では、 ‘ 寒桜 ’ や ‘ 薩摩寒桜 ’ とは花弁やがく片の形、 ‘ 大寒桜 ’ とは花弁先端の切れ込みが少くないことなどで区別されることから新しい園芸品種と認定しました。蓬莱桜保存会が設立された際に、「一年に一度、この桜に逢いに来る、逢いに来てほしいとの思い」と、向島は「蓬莱島」と呼ばれていた時代があり、島中央の錦山はかって「蓬莱山」と呼ばれていたことから ‘ 蓬莱桜 ’ と命名されました。花は一重咲、蕾は紅色、花色は淡紅色、展葉前に開花し、同小学校では3月上中旬に開花します。染井吉野の前に開花する早咲きの美しい桜で、原木以外にも増殖した苗木が学校周辺に植えられ、開花期には大勢の見学者が訪れます。原木を保護しつつ、さらなる桜の名所づくりが期待されます。

(認定番号 第013号) 思伊出桜 オモイデザクラ Cerasus × subhirtella ‘Omoide-zakura’

思伊出桜
品種特性詳細
写真提供 森田 和市 氏
平成30年6月18日認定。 申請者 森田 和市
1996年に長野県飯田市在住の森田和市氏が市内の公園に植栽されていた思川の果実を約20粒採種し、種子に調整後、地中に保存し、翌年3月に播種したところ5本が成育して、3年後に初めて開花しました。その中から観賞性が高い一個体を選抜して、接木により苗木を増殖・育成し、特性を継続的に観察しました。原木と比較したところ特性が固定されていたため、新品種として母樹である思川の「思」に「伊那谷から出た桜」として思伊出桜(オモイデザクラ)と命名した桜です。原木は20年生で幹周85cm(地上1.1m)、樹高6mに達しています。森田氏が自宅で増殖・育成した苗木は各地に送られています。また、当会桜見本園にも2007年にエドヒガン実生台に接木・育成した個体が保存され、毎年、花を咲かせています。思伊出桜は葉や花各部の特性は母親である思川に類似していますが、花弁数が15~21枚の八重咲・中輪花である点で思川と区別されます。花色は思川と同様に蕾は紅色で、開花時の花色は淡紅色、開花時期は彼岸桜系としてはやや遅く飯田市では八重紅枝垂れや舞姫と同時期の4月中旬、展葉期が開花後で多花性のため思川以上に高い観賞性をもつ品種であり、桜の名所づくりの素材として今後の活用が期待されることから当会の園芸品種として認定しました。

(認定番号 第012) 極楽寺桜 ゴクラクジザクラ Cerasus leveilleana ‘Gokurakuji’

極楽寺桜
品種特性詳細
平成30年5月25日認定。 申請者 極楽地 太一
1982年に極楽地氏が兵庫県芦屋市の芦屋川上流左岸の山中で発見し、1986年にその個体から接木増殖し栽培している桜です。同氏より2001年に品種調査の依頼を受け、当会桜専門委員である故・川崎哲也氏により今までに知られていないカスミザクラの菊咲き品種と判断されました。当会による調査の結果、カスミザクラの菊咲品種として2004年の「花の友」春号に新しい桜品種として紹介されました。当時は当会の認定制度がなかったため、今回、特性などを再調査し、新品種として認定しました。カスミザクラ系の八重咲品種としては奈良の八重桜が知られていますが、この品種と比べて花弁数が多く、時に段咲となる点や、がく筒や小花柄の毛の有無により区別され、黄緑色の若芽と淡紅色の花色の対比が美しい品種です。品種名は芦屋の岩ケ平山中にあった極楽寺の庵に因んで名づけられました。花は花弁数が約50~100枚の菊咲で、ときに段咲となり、蕾は紅色、開花時の色は淡紅色。芦屋市での開花時期は4月下旬、遅咲きの菊咲品種として桜の名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第011号) 明徳慈眼桜 ミョウトクジゲンザクラ Cerasus × subhirtella ‘Myoutoku-jigenzakura’

明徳慈眼桜
品種特性詳細
平成30年4月29日認定。 申請者 高顕寺住職 増澤 秀譽
この桜は高顕寺(長野県須坂市大字仁礼字大狭869‐2番地)の境内に古くから植栽されており、マメザクラの一品種であるミドリザクラと呼ばれていましたが、2015年7月に田中秀明(当会結城農場長)によりコヒガン系の品種と同定されました。その後の調査により、類似品種のミドリザクラとは葉縁鋸歯やがく筒の形で、ミドリコヒガンとはがく筒の色で区別されることから新品種として認定しました。なお、ミドリコヒガンは記載のみで現存する個体の所在は不明となっているため詳細な比較・検討はできませんでした。この桜の園芸品種名については、原木の所有者である高顕寺住職・増澤 秀譽(マスザワ シュウヨ)氏により「明徳慈眼桜 ミョウトクジゲンザクラ」と命名されました。名前の由来は原木のある高顕寺の山号である「明徳山」と院号の「慈眼院」に因みます。なお、明徳は南北朝時代、北朝の後小松天皇朝の年号、慈眼は仏教用語で慈悲の心をもって衆生(生命あるものすべて。特に人間をいう。)をみる仏・菩薩の眼を指しています。花は一重咲、蕾や花色は純白色、がく筒や新芽は淡紅緑色、展葉より前に開花し、同寺ではエドヒガンと同じ4月中旬に開花します。染井吉野の前に開花する低木性の美しい桜で、鉢植えや切り花用および小庭園にも適する品種であり、桜の名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第010号) 横輪桜 ヨコワザクラ Cerasus ‘Yokowa’

横輪桜
品種特性詳細
写真提供 横輪町活性化委員会
平成30年3月1日認定。 申請者 横輪町活性化委員会
この桜は江戸時代後期から三重県伊勢市横輪町内の桂林寺にあったとされる桜で、ひこばえ等から増殖した苗が町内各所に多数、植栽され、開花時期には桜まつりが開催されています。地区に因んで横輪桜と呼ばれていましたが、品種名が不明確だったため、申請者からの依頼により2011年に調査を実施、新品種として報告しました。当時は当会の認定制度がなかったため、今回、申請に基づいて新品種として認定しました。この桜はサトザクラ類の品種で類似品種である千里香、大提灯とは葉縁鋸歯や苞の形で区別されます。約5~14個の花弁が混在する一重八重咲、大輪、淡紅色で香りのある花を咲かせます。横輪町での開花時期は4月上旬、染井吉野後に開花する美しい桜で、地域の活性化に大きく貢献しています。

(認定番号 第009号) 与謝野晶子 ヨサノアキコ Cerasus ‘Yosano Akiko’

与謝野晶子
品種特性詳細
平成30年2月20日認定。 申請者 堺市
この桜は、堺市の大仙公園圃場で栽培されている桜で、ベルギーのカラムタウト樹木園から導入された品種です。本品種は葉や花などの形態的特性などからマメザクラに他種が関係して生じた品種と推定されます。類似品種のオカメとはがく片の鋸歯や花色、花弁の形状により、クルサルとは葉や花の毛の有無により区別されることから新しい園芸品種として認定しました。樹形が盃状で低木性であることから個人邸や小庭園など限られた空間での利用や鉢植えなどにも適する品種で、花弁の色は淡紅色の濃淡でぼかし状、がく筒およびがく裂片は濃紅色で花は小輪、多花性のため開花時期は花弁とがくの色が混在した高い観賞性をもつ品種で、堺市では3月下旬に開花します。品種名は、日本の近代文学を代表する歌人として堺市が生んだ歌人である与謝野晶子の名を使用し、まさしく「与謝野晶子」と命名されました。与謝野晶子は生前、桜をこよなく愛し、桜を謳った短歌も多数残されています。晶子の最後の詩集は「白桜集」と名付けられるなど、晶子と桜は密接な繋がりがあります。また、与謝野家の家紋も桜をかたどったものであり、この桜の花びらと形状が類似しています。がく筒が濃紅色なことも、情熱的な女性歌人のイメージ通りであり、今後、桜名所づくりの素材としての幅広い活用が期待されます。

(認定番号 第008号) 天賜香 テンシコウ Cerasus jamasakura ‘Tenshikou’

天賜香
品種特性詳細
平成30年2月15日認定。 申請者 極楽地 太一
この桜は極楽地氏が保全していた兵庫県芦屋市北東の東六甲山系の里山で、1978年頃に発見、その個体から苗木を接木増殖し、栽培した桜です。同氏より2004年に品種調査の依頼を受け、当会で調査の結果、ヤマザクラ系の新しい八重咲品種として同年10月に当会会報誌で紹介されました。当時は当会の認定制度がなく、今回、申請に基づき認定しました。花色が純白色で香りが非常に良いことから、天から賜った香り桜として、極楽地氏により天賜香と命名されました。ヤマザクラ系の品種で八重咲・白花としては琴平や養老桜がありますが、がく片の形や花の香りの有無で区別されます。若芽の色は赤茶色で、純白の花色との対比が上品で美しい桜です。開花終期は花の中心部より紅色に変化します。芦屋市での開花時期は4月上旬。六甲山系で誕生した香り桜として、桜の名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第007号) 弘前雪明かり ヒロサキユキアカリ Cerasus ‘Hirosaki-yukiakari’

弘前雪明かり
品種特性詳細
平成29年11月15日認定。 申請者 弘前市
この桜は1980年頃に市民から寄贈されて弘前公園に植栽したもので、1989年に当会主催の桜シンポジウムにおいて新品種と指摘され、岩手県盛岡市の育種家、橋本昌幸氏により、満開時の花色に因んで弘前雪明かりと命名されました。花は八重咲、蕾は紅色、開花と共に淡紅色に紅色の覆輪状となり、やがて満開時には白色になります。花には芳香があり、弘前市では5月上旬に開花します。染井吉野後に開花する美しい八重桜なので、弘前市における桜の名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第006号) 森小町 モリコマチ Cerasus ‘Morikomachi’

森小町
品種特性詳細
写真提供 吉田 正之 氏
平成29年6月30日認定。 申請者 北海道森町
森小町は、1978年に北海道茅部郡森町在住の故・田中淳(タナカマコト)氏が森町固有品種である堀井緋桜を母親として、染井吉野を人工交配して誕生した品種とされています。1978年に播種後、育成された苗木は1987年に青葉ケ丘公園に移植され、1988年に公募により森小町と命名されました。原木は2014年6月に枯死しましたが、当会結城農場で栽培されていた個体が2015年10月に青葉ケ丘公園に植栽されました。森小町は、開花時期が染井吉野後に見頃となること、蕾が濃紅色、花色は花弁に濃淡の紅色がぼかし状となり美しいこと、花着きがよく、葉に先立って開花するなど観賞性が高いことから、桜の名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第005号) 大雄院ほのか ダイオウインホノカ Cerasus ‘Daioin Honoka’

大雄院ほのか
品種特性詳細
平成29年3月7日認定。 申請者 茨城県北日本花の会
大雄院ほのかは、日立市・天童山大雄院に1900年頃には植えられていたと推定される桜で、この桜の原木がある寺院の名称とともに日立市発展の基礎となった日立鉱山が所在する大雄院と花に薫りがあることから、日立の山の峰々に香り豊かに咲き誇る可憐な八重桜として、茨城県北日本花の会により命名されました。花は八重咲、蕾は紅色で開花時にはやや薄い淡紅色になり、雄しべの数が非常に多いことが大きな特徴です。花には芳香があり、4月中下旬に開花します。遅咲きの八重桜として名所づくりに活用されることが期待されます。

(認定番号 第004号) ひたち雅 ヒタチミヤビ Cerasus ‘Hitachi Miyabi’

ひたち雅
品種特性詳細
平成29年3月1日認定。 申請者 日立市
ひたち雅は、日本花の会桜見本園において田中秀明結城農場長により、松前八重寿の実生から育成された品種です。日立市の「池の川さくらアリーナ」開館記念として寄贈され、市民運動公園に植樹されました。市民公募により斉藤道代氏の「優美で華やかな品位を感じさせる花のイメージをもとに日立市を象徴するもの」として命名されました。花は八重咲で明るい淡紫ピンク色、花着きがよく4月上中旬に開花します。花にはわずかな芳香があり、染井吉野に続いて見頃となる桜として、今後の活用が期待されます。

(認定番号 第003号) 加計桜 カケザクラ Cerasus ‘Kake’

加計桜   00046
品種特性詳細
平成27年11月2日認定。 申請者 加計 正弘 氏
加計桜は広島県安芸太田町加計の加計正弘氏邸で明治時代から栽培されている桜で樹齢100年生以上と推定されます。葉や花の形態的特徴からヤマザクラとカスミザクラが関係して生じた桜と推定され、地域を代表する桜として加計桜と命名されました。花は八重咲で明るいピンク色、花には芳香があります。花着きがよく現地では4月中下旬、広島市内では4月中旬頃に開花します。染井吉野が盛りを過ぎた後に開花するため、遅咲きの桜の名所として活用されることが期待されます。

(認定番号 第002号) 掛川桜 カケガワザクラ Cerasus ‘Kakegawa’

写真:(認定番号 第2号) 掛川桜 カケガワザクラ Cerasus ‘Kakegawa’
品種特性詳細
平成26年10月2日認定。 申請者 掛川市
掛川桜は静岡県掛川市で田旗康二氏により育成されたカンヒザクラ系統の品種で、掛川城の南側を流れる逆川沿いの両岸、 約2㎞に渡り約230本が植えられています。 掛川桜の名は平成24年に掛川市緑化推進委員会により、これから市を代表する桜として命名されました。 花は一重咲で明るいピンク色、花着きがよく、3月上旬から開花し、観賞期間が2週間程度とやや長い品種です。 染井吉野の前にお花見ができるため、掛川城を彩る新しい桜名所地となり始めています。

(認定番号 第001号) 華加賀美 ハナカガミ Cerasus ‘Hanakagami’

写真:(認定番号 第1号) 華加賀美 ハナカガミ Cerasus ‘Hanakagami’
品種特性詳細
平成25年4月1日認定。 申請者 こまつ日本花の会
華加賀美は、当会桜見本園内に植えられた奥州里桜の実生苗から田中秀明農場長が育成・選抜した桜で、 平成25年4月に全国さくらシンポジウムin小松開催を記念して命名・発表されました。 品種名は、こまつ日本花の会が「華やかで美しい加賀の國」にふさわしいとして選びました。 花は半八重咲で明るいピンク色、花着きがよい品種で4月上中旬に開花します。 命名を機に結城農場で苗木が生産され、石川県小松市を始め、各地に植えられ始めています。