全国花のまちづくりコンクール

第24回(2018年)全国花のまちづくり中之条大会

写真:中之条大会 会場

テーマ 「花と湯の町なかのじょう 交流・学び・憩いのまちづくり」

2018年7月21日~23日、群馬県中之条町で「全国花のまちづくり中之条大会」が開催されました。
花のまちづくりを全国的に普及、定着させるために開かれるこの大会は、今回で24回目となります。
町村での単独開催は初であり、また町の花ヤマユリやノゾリキスゲが見頃となる初夏の開催、3日間にわたる開催も初めてでした。
第22回全国花のまちづくりコンクールで大賞を受賞した2団体と、主催自治体による事例発表会をご紹介します。

事例発表

埼玉県深谷市《第22回農林水産大臣賞》

「市民が主役の花のまちふかや ~人がつながる花でつながるガーデンシティふかや~」

深谷ネギをはじめ野菜の収穫量で全国トップレベルの深谷市は、花の出荷も盛んです。2003年、若手職員を中心にプロジェクトチームを作り、花をキーワードにまちづくりを実施する「ガーデニングサミット連絡協議会」に参加、深谷市全体が庭のようになればという思いで「ガーデンシティふかや」構想に至りました。市民が主役のまちづくりを進めるため、行政はバックアップに徹することを大切にしています。 市民と行政との協働による具体的な取り組みとして、まずオープンガーデンがあります。「深谷オープンガーデン花仲間」は第16回全国花のまちづくりコンクールで大賞(国土交通大臣賞)を受賞、今年5月には「みどりの愛護」功労者として国土交通大臣表彰を受けました。

「市民ガーデニングボランティア」はJR深谷駅前などで花植え、除草、花がらつみなどを行い、市民に喜ばれるガーデンとなっています。「アダプト・プログラム」では公園や道路の残地、緑地の公共空間を市民に貸し出して管理してもらっています。「ふかや学校花はなプラン」には市内の幼稚園・小中学校が参加し、学校と地域で花を通して子どもを育んでいます。

また「ふかや緑の王国」は市民ボランティアの手づくりで整備し、市民の憩いの場として、そして市民ボランティアの活動拠点、花と緑の発信基地として活用しています。各種イベントやガーデニング教室の開催、環境学習プログラムなどの催しを行うほか、日本の農村風景を再現した「ふかや村」を整備し、「市民がつくり市民が守り育てる市民の森」になりつつあります。

  • 写真:駅前花壇を手入れする市民ガーデニングボランティア

NPO法人鼻高町をきれいにする会(群馬県高崎市) 《第22回農林水産大臣賞》

「わが町の花のまちづくり」

鼻高町は昭和の中頃まで養蚕が盛んな純農村地帯でしたが、次第に兼業や転業農家が増えて耕作放棄地が増加し、環境改善は地域の課題でした。荒廃が進む故郷を何とかしたいと地元民か協議を重ね、2001年に任意団体「鼻高町をきれいにする会」を結成。地域住民を巻き込んだ花の景観づくりによる環境改善、環境美化意識の向上、明るく住みよいまちづくりを目標に事業がスタートしました。

活動場所の花の丘では菜の花や馬鈴薯、サツマイモ、ソバなども取り入れ、年間20種を超える花を植栽しています。現在会員は74名で、昨年は60人が活動に参加。花の種、苗は自家採種、自家育成に努めて経費削減を図り、大量に出る花がら粉砕処理後、トラクターで土中にすき込みます。

花の景観づくりにあたり「花育」「食育」は大きな柱です。市民や小中学校の児童生徒の体験学習の場として活用することで、命の大切さ、環境美化、地域貢献、世代間交流を図ると共に、収穫される農作物は市内の学校給食材として使用され、地産地消にも貢献しています。

また「菜の花エコプロジェクト」では収穫した菜種を絞ったなたね油を商品化すると共に、家庭での廃食油を回収してバイオ燃料化を図り、環境に配慮した経済活動に取り組んでいます。地元の子どもたちにも「花のまち鼻高」の意識が浸透し、地域の福祉施設からの来場者も非常に多いことから、私たちの活動が福祉にも貢献できていることを実感しています。これからも花の力によるまちづくりをさらに推進していきます。

  • 写真:多くの観光客が訪れる鼻高展望花の丘

群馬県中之条町

「中之条町における花のまちづくり」

芸術文化振興、エネルギーの地産地消、自然を活かした観光振興などに努める中之条町では、特に花のまちづくり事業に力を注いでいます。農林課には「花のまちづくり推進室」を設け、町で委嘱する花のまちづくりアドハイザーの意見を様々な施策に活かしています。

花のまちづくり推進の中核施設は「中之条ガーデンズ」と「中之条山の上庭園」です。リニューアル整備中の花のテーマパーク「中之条ガーデンズ」は複数ガーデンの集合体で、スパイラルガーデン、町民花壇、ローズガーデンが完成し、今後、ふる里の野山、パレットガーデンが完成します。「中之条山の上庭園」は山野草やハーブの栽培で知られる六合地区の花が植えられた自然が味わえるイングリッシュガーデンで、二つの施設を結ぶ花桃街道も整備中です。

行政区による花いっぱい運動は35年の歴史があり、町では苗の現物支給と管理費の補助を行っています。また公共施設や駅などの美しい環境づくりに貢献する「中之条町花の会」、「中之条山の上庭園」の植栽や手入れを行う「六合おてんま会」の両団体は、当町における花のまちづくり推進にあたり大きな力となっています。個人のオープンガーデンに対する支援、「花育」の推進や定期的な園芸教室の開催などを通して、今後も花による人づくり、地域づくりの活性化を図っていきます。これらの活動の成果として美しい庭を持つ家庭が増え、美しい地域が広がり、中之条町全体が美しい庭園となることが最終目標です。

  • 写真:「中之条ガーデンズ」一面のアゲラタム
  • 写真:「中之条ガーデンズ」の町民花壇