全国花のまちづくりコンクール

第25回(2019年)全国花のまちづくり南砺大会

写真:南砺大会 会場

テーマ 「なんと幸せのおすそわけ」

2019年7月6日・7日、富山県南砺市で「全国花のまちづくり南砺大会」が開催されました。
花のまちづくりを全国的に普及、定着させるために開かれるこの大会は、今回で25回目となります。
第27回全国花のまちづくりコンクールで大賞を受賞した山崎久夫氏と、南砺市の花のまちづくり事業という2つの事例発表と、兵庫県立淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」プロデューサー 辻本智子氏の特別講演をご紹介します。

事例発表

山崎 久夫(富山県朝日町)《第27回農林水産大臣賞》

「春の四重奏の創出とまちづくり ~多くの人に喜んでもらいたい、ふるさとの彩りを~」

私は米とチューリップの農家です。朝日町では以前農家が40数戸ありましたが、現在は2戸。田んぼは98枚あります。ライバルのいない景色を創って子供たちにふるさとを残したいという思いから、「春の四重奏」の創出を考えました。残雪の朝日岳・白馬岳と、桜、菜の花、チューリップが広がる景色です。チューリップは桜と時期を合わせて咲く品種を考え、長い期間にわたって大面積に咲く菜の花とともに色とりどりの景色を楽しんでもらっています。川沿いには約60年前に先輩世代が植えた桜の並木が続いていますが、この桜が老いてきたため、約20年前に町にお願いして桜の堤防を拡張し、今は278本の桜が並木を彩っています。桜の維持管理は並木の保存会や婦人会、老人会と分担しながら行っており、作業は年明けから農作業が忙しくなる前の3月10日頃まで。町の協力を得て桜一本一本の生育調査も終わり、今後は安全性を考えた管理が大切です。

今年の「春の四重奏」シーズンには約4万7千人が訪れました。台湾、インドネシア、韓国、中国など海外からもたくさんの方が来られるようになり、今年から案内も4カ国語で作成しています。単に景色の写真を撮って終わりではなく、景色を見に来たお客さんが少しでも長い時間町に滞在してもらえるように、商品開発も行っています。この秋にはカフェやミニガーデンも開設する予定です。また5月から9月頃までの見どころになるよう平成18年から田んぼアートを始め、子供たちが描いた絵や、福島や熊本といった被災地の復興に願いを込めた図柄など、毎年デザインを工夫しています。そのほか、近所の子供さんを集めての花摘み、お花畑での演奏会やウェディングドレスの撮影会、冬の間は桜並木にイルミネーションをつけて雪景色の中で高速道路から映える工夫など、四季を通して「四重奏の里」をアピールしています。「点から面へ」を意識して、地域おこしに繋がるよう、朝日町にたくさんの方に来ていただけるように努力していきたいと思います。

  • 写真:見事な「春の四重奏」が広がる

花と緑の銀行 南砺支店(富山県南砺市)

「南砺市の花のまちづくり事業」

南砺市は人口約5万人、面積約7㎢の約8割が森林で、平野部には散居村さんきょそんが点在する自然豊かな市です。五箇山の合掌造り、越中の小京都 城端じょうはな、木彫刻の町 井波があり、香り高い歴史と文化を感じることができます。

南砺市では市民協働によるおもてなしフラワー事業、花壇コンクールが繋ぐ花づくりの交流、花のまつりが広げる花と緑の輪の取り組みを、公益財団法人花と緑の銀行と協力しながら進めています。ここでは県中央植物園に本店を置き、地域の支店ごとに頭取とグリーンキーパーの皆さんが活躍しています。

花と緑をはぐくむ事業では、地域花壇への花苗配布、花壇造成、花壇コンクールの実施、指導者育成事業などを行い、五箇山の菅沼合掌造り集落では地域住民からの声を契機に、世界遺産登録と北陸新幹線開通で年間17万人を超える観光客を花飾りでもてなしています。花台に流木を利用するなど、景観と調和する花の植え方にも気を配り、今では花飾りが目的の観光客も増えるようになりました。井波では井波彫刻を花台にあしらい、趣のある町を演出するために毎年花飾りをしています。南砺市単独の事業としては市内各地の観光ポイントで趣向を凝らした花飾りを行い、花壇コンクールを通して花壇の栽培技術の向上と地域の交流の連携を図っています。

また市内の園芸植物園やいのくち椿館では、各種花のまつりを開催することで地域振興と花の文化の定着を目指しています。南砺花と緑のフェスティバル、南砺菊まつりなどの花のまつりがあり、南砺市で新品種開発を行っているスプレー菊作り教室を小学校でも開くなど、子供たちが地域の花を再認識し、花を通してやさしい心を育んでほしいと願っています。

このような花のまちづくりの取り組みを通じて、地域住民の花と緑に関わる活動が増え、地域の発展と花と緑に対する関心が高まりました。これからも南砺市全体に花の輪を広げていきます。

  • 写真:五箇山・菅沼地区の合掌造り
  • 写真:玉成花壇

特別講演

辻本 智子(兵庫県淡路島 奇跡の星の植物館プロデューサー)

「ガーデンルネサンス南砺 ~地域性と伝統を継承する花のまちづくり~」
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自然に恵まれた日本は西洋と違う自然観を育んできました。自然の神に感謝し、花見などの季節を楽しみ、農作業に合わせた節句や節気があります。建造物も暮らしも自然と一体化した日本の花文化は、衣食住、工芸、芸能、観光すべてに関わっています。しかし今、特に都会では日本の地域性や伝統に根ざした暮らしは姿を消し、欧米化する一方です。子供が植物と触れ合い、自然から発見できる機会を作る舞台となるのが花と緑のまちづくりです。“単に花を飾るだけではなく、日本人の共生の暮らしを見直し、新しいあり方を考え、地域の文化を継承するきっかけにする” - 私はこれを「ガーデンルネサンス」と呼んでいます。五感を磨き、伝統園芸植物など地域にコンテクスト(脈絡)を読み込み、食、音楽、アートなども総合的に組み合せて、刺激的な花と緑の実験の場にしていくとよいと思います。南砺市の素晴らしい景観を継承していくために、生活の中に子供たちが発見できるものを取り入れ、訪れた人が感動するような空間づくりをぜひ進めていってください。