全国花のまちづくりコンクール

第27回(2021年)全国花のまちづくり由利本荘大会

写真:由利本荘市南内越地区に広がる花壇
由利本荘市南内越(みなみうてつ)地区に広がる花壇

テーマ 『花ほほえみ 風薫る ゆりほんじょう』

2021年7月17日・18日、秋田県由利本荘市で「全国花のまちづくり由利本荘大会」が開催されました。花のまちづくりを全国各地に普及定着させるために開かれるこの大会は今回で27回を数えます。今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため参加者は秋田県内在住者に限定するなど規模を縮小しての開催となり、大会を楽しみにされていた多くの花仲間に残念な思いをさせることとなりました。ここでは、石脇緑を守る会と第28回全国花のまちづくりコンクールで大賞を受賞した十文字環境美化を考える会の2つの事例発表と、秋田県花いっぱい運動の会の事業についてご紹介します。なお、このほか園芸家の杉井志織さんによるオンライン特別講演も行われました。

【YouTube ゆりほんテレビ】全国花のまちづくり由利本荘大会

事例発表

石脇緑を守る会(由利本荘市)

「ほほえみ花壇で思わずにっこり」

由利本荘市石脇地区は、約260年前は度重なる砂嵐に悩まされていましたが、藩政期に石川家代々がクロマツの植林を行い、緑の地へ生まれ変わりました。しかし約20年前、鳥海山や日本海を望む新山公園の松林が松食い虫の被害に遭い、地域全体で再生・保存するため、2003年に会を設立しました。植林を中心に活動していましたが、その後活動休止状態に。2012年、市道の建設工事後の残地が荒れ放題となっているのを見かねて、会の活動を花壇づくりに方向転換しました。

素人の団体なので試行錯誤の繰り返しですが、花壇コンクールで優秀賞などをいただくと、ますます花壇づくりの意欲が湧きます。信号脇の花壇では高低差をつけて道路からの見え方を工夫すると、とても素晴らしく見えて、運転中の信号待ちも苦になりません。

これからも「ほほえみ花壇で思わずにっこり」の合言葉を大切にしながら、仲間同士の絆を深め、花壇があることでドライバーが優しい運転になってくれたら嬉しく思います。花に愛情を注ぎ、道ゆく人には癒しの空間を与え、見る人がにっこりするような美しい花壇づくりを、約60名の全会員が協力して頑張ってやっていきます。

十文字環境美化を考える会(横手市)《第28回国土交通大臣賞》

「魅力度アップのまちづくりをめざして」

横手市十文字町でボランティア活動に取り組んで約15年。道の駅十文字、旧国道13号線沿い、JR十文字駅の3カ所にポイントを置いて花壇づくりを続けています。

道の駅では駐車場を囲む緑地帯全部を花壇にしています。実現までかなり時間がかかりましたが、今では子供たちによる花植え活動も行っています。子供たちが本来持っている優しさやあたたかさ、美しいものを美しいと思う心を育てていきたい、命あるものを育むことで自分や他人の命も大事にしてほしい、また郷土のあたたかい土に触れることで郷度愛が増すのではないかと思っています。旧国道13号線フラワーロードは多くの店があり町中で一番賑わう場所であること、また小中高校生の通学路であることから、この場所を通る人々に豊かな環境を与えたいと思っています。JR十文字駅は、今や以前の賑わいはありませんが、高校生が多く利用するため、玄関としてきれいにしたいと頑張っています。地元を離れてからも「戻ってきたい」と思ってもらいたいという願いも込めています。

合併により横手市が誕生して地域づくり協議会が発足してから、よりよいまちづくりのための提案ができるようになり、3ポイントの花壇も充実しました。鳥海山を借景とする〈オカメザクラ〉の並木づくりなど、長年の夢も実現しています。花はまちを元気にし、心を潤わせると共に、悲しみを希望に変え、苦しみを勇気に変える力もあるということを実感しています。

秋田県花いっぱい運動の会(秋田市)

「秋田県花いっぱい運動の会事業紹介」

1960年に発足、翌年開催の秋田まごころ国体では花いっぱい県民運動を展開し、全国から訪れた方々を花いっぱいでお迎えしました。以来60年にわたり、「全県花だんコンクール」の開催、「花育」活動の推進、花で秋田を元気にする活動の推進、を柱に活動を続けています。

今年で57回目を迎える「全県花だんコンクール」には、例年約200点の応募があります。地域、学校、職場や企業、家庭など、花壇づくりの形態とその効果は様々です。花が地域や社会に与えるプラスの効果を「花の社会性」と言いますが、人口減少と高齢化の進行による地域課題が懸念される秋田県では、その解決方法のひとつとして「花の社会性」を活用した施策をご検討いただければと思います。子供たちが花に親しみ、花を育てることを通して優しい心や思いやりの心を育てる「花育」は、多世代交流の場となり、また将来的に花の消費拡大にも繋がると考えられます。当会では毎年、小学生と保護者を対象に花育体験講座を開催しています。また花で秋田を元気にする活動の推進については、セミナーや研修会の開催、県産花卉の生産・消費拡大の取り組みに対する協力のほか、地域の女性の活躍推進と交流の場となるコミュニティサロン「花々」プロジェクトなど、様々な取り組みを行っています。

多くの会員の皆さまからのご支援とご協力をいただきながら、行政や企業等との協働、連携を深め、これからも「花の社会性」を活用した花のまちづくり活動の輪を広げ、花いっぱいで秋田を元気にしたいと思っています。

  • 写真:「花育」活動を通して花に親しむ
    「花育」活動を通して花に親しむ
  • 写真:会場前のウェルカム花壇
    会場前のウェルカム花壇