全国花のまちづくりコンクール

第33回(2023年)全国花のまちづくりコンクール 審査講評

審査委員長 齋藤 京子

 第33回全国花のまちづくりコンクールの総応募数は878件となり、昨年の694件より184件増加しました。部門別にみると多い順に団体526件、学校193件、個人135件、企業22件、市町村2件でした。以前から団体、個人の応募が多く着実な活動が行われていることがわかります。学校の応募も増えており子供たちが花と緑に親しむのはとても嬉しいことです。一方、市町村、企業の応募はより増えて欲しいと願っております。
 この度、栄えある各賞を受賞されました皆さまへ、心からお祝い申し上げます。そして、花のまちづくり活動に取り組む全ての皆さま及び日頃からこの活動を支えていただいている関係者の方々に心より感謝申し上げます。

「酷暑の夏を乗り切る花と緑と私たちの体力」が大事、そして長年の知見を次代に

 酷暑の中、現地審査に行くと夏の花々が彩り良く元気に咲き、葉の色も濃く草勢も良く、土づくりから日頃の管理まで大変よく行き届いている様子が分かります。時間に制限なく管理している訳ではありません。そこには適期播種、土づくり、品種選定と組み合わせ、水やり等、長年の経験や知見に裏付けされた地域に合った栽培管理技術やノウハウがありました。夏場でも、十分注意し工夫して活動に取り組み、身体に無理なく楽しく活動されていました。
 花のまちづくりコンクールにご応募いただく方々の年齢が比較的高く、今は大丈夫だが今後が心配という声も多く聞かれます。是非、皆さまの花のまちづくりの長年の知見を緩やかに次代に引き継いでいけるようにしていただきたいと思います。
 例えば、花のまちづくりの発表会開催、子ども達と親たちも参加するイベント開催、花づくりの講座開催、動画の配信、地域の人たちも参加しての学校花壇づくり等、今回応募された方々も色々と取り組まれており、更にこの取り組みを市町村などが広く情報発信していただいていることが、花のまちづくり活動の更なる広がりにつながっていると思います。

大賞受賞者の注目すべき高く評価された取り組み

花てまりの会は、観光都市である那智勝浦町内のポイントとなる花壇を19年間維持管理しており、南国で潮風の強い気候風土にあった植物選定や明るい色調の花壇デザインは、訪れる観光客に対するおもてなしの気持ちが表れています。活動年数が長くなり高齢化で会員数も減少する中で更に活動範囲を広げ、近隣から花壇指導を頼まれるなど活発な活動がされている素晴らしい取り組みとして高く評価されました。

太田 よしの氏は、風光明媚だが海風、降雪、山に囲まれた地域の環境に合った植物を選定した自身の庭造りが素晴らしいこと、更に地域の自治会館や街角の駐車場など歩いて行けるウォーカブルな花のまちづくりにも貢献しています。また、町や県で数多くの委員、会長などもつとめ幅広く活動されるとともに、子どもたちへ花に興味を持つような声掛けや後進の指導など人材育成にも力を注いでいる広がりのある活動が高く評価されました。

天浜線 人と時代をつなぐ 花のリレー・プロジェクトは、沿線の駅を中心に130を超える地域団体や企業、学校などが協働事業として花壇整備と環境整備を行っているユニークな取組で、参加団体は年々増加しています。花のまちづくり活動が、鉄道自体の存続・観光・地域活性化・地域住民や企業等との連帯醸成とその成果は大きく、活動の範囲、関わる組織の多さも群を抜いておりこれらが高く評価されました。

咲かそうひまわりは、雑草に覆われゴミ捨て場化した公共の場所を整備し、季節の花々や木々を植え地域の人にとって気持ちの良い自然風の景観を作り出しています。最初の活動から26年間、今も活動面積を増やし続けています。会員は高齢の方、障がいのある方、外国籍の方等が一緒に活動しており、イベントには多くの市民が参加します。公のスペースに市民が楽しんでガーデニングを行い美しい景観を作り出す素晴らしい取組が高く評価されました。

黒部市立若栗小学校は、校内の中心的花壇であるフラワーランドのテーマとデザインは、全校児童からの募集で決定し栽培管理する自主性の高い活動を行っています。花と緑の銀行から支給される苗や自前の苗等を使って行う花壇活動は、児童の学習に活かされています。全校児童と保護者による45年にわたる花壇活動は地域の花づくり活動の人材育成になっており、児童・先生・地域のこれらの取組が高く評価されました。

 以上、第33回を迎えた全国花のまちづくりコンクールの審査講評を終わります。