第34回(2024年)全国花のまちづくりコンクール 審査講評
第34回全国花のまちづくりコンクールの総応募数は605件となり、昨年の878件より273件減少しました。コンクールへの応募を自分たちの活動の記録やPR、活動の励みやネットワークづくりのきっかけとして等、気軽にご応募いただきたくお願いします。部門別には団体361件、学校119件、個人103件、企業20件、市町村2件でした。
この度、栄えある各賞を受賞されました皆さまへ、心からお祝い申し上げます。そして、花のまちづくり活動に取り組む全ての皆さま及び日頃からこの活動を支えていただいている関係者・関係機関・団体などの方々に心より感謝申し上げます。
「花の社会性」を実感できた各地の取り組み、広く知っていただき応援していただきたい!
花のまちづくりは、地域の環境づくりやコミュニティづくり、人づくりに資する“花の社会性”をまちづくりに活かす活動です。荒れ地や耕作放棄地、遊休農地を何とか綺麗にしたい、殺風景な街中に花や緑を取り入れたい、子どもたちの豊かな心を育みたい等、その原点には、地域の共通の問題意識があります。仲間と話し合い活動の方向性を共有し、工夫しながら年々の活動の結果、美しく心地よい地域に変わっていきます。今回の応募に見られたのは、この「花の社会性」が発揮されていたことです。この取り組みを、行政サイドが広報や資材費、花苗代、水道代、ネットワークづくり、感謝状の贈呈など様々に応援していただくことが、活動の励みと継続につながります。花のまちづくり活動へのご理解とご支援を引き続きよろしくお願いいたします。
大賞受賞者の注目すべき高く評価された取り組み
三島市東大場花の会は、町内の市有地1,000㎡が荒れ地になっていたのを、町民有志で憩いの花壇を作ろうと2005年から活動を開始。今では、夏場でも芝生の鮮やかな緑と花壇の生命力あふれる花々が地域住民を楽しませています。土づくりと草取りが徹底され、73種の草花が咲き、住民に花束をプレゼントする等、まさに努力と工夫を楽しく続けながらレベルの高い花壇を継続している取り組みが大変高く評価されました。
特定非営利活動法人田原菜の花エコネットワークは、2006年から遊休農地に菜の花やヒマワリを植えることで、景観形成、資源循環、観光、農業の担い手確保等に繋げる活動を実施。活動支援のため、種子の支給、機械作業委託や菜の花エコサポーター制度の設置など、多くの仕組みが用意され、法人の役員会に田原市の職員も参加する等田原市の積極的な取り組みもすばらしく、農業が盛んな地域での花のまちづくり活動のモデルとして大変高く評価されました。
南大塚都電沿線協議会は、不法投棄など治安が懸念された都電沿線の美化活動を2008年から始め、第25回本コンクールで大賞を受賞。その後、活動場所にJR大塚駅前広場 を追加、バラ見守り隊に地元の小中学校が参加、区役所、JR、都電、商店会等との関係性も良好等、その活動の幅とレベルが高まっています。バラの健全な生育を支える管理作業も適切に行われており、都市部におけるこれらの取り組みが大変高く評価されました。
佐野 誉志照・恵美子氏は、2009年より一年中、自宅の庭をオープンガーデンとして開放。花の色別に庭のコーナーを分けて植栽する等変化のある庭づくりをしています。また、種子を自ら考案した発芽方法で花苗を生産し、地域内の花壇に苗を配布し、地域や学校の花壇活動を支えています。更に、浜松市の協働センターの花作り講座の講師を9年間続け、地域内外の園芸のリーダー養成に貢献されているなどの取り組みが大変高く評価されました。
五霞町立五霞中学校は、「心豊かな生徒」の教育目標のもと、2013年から花いっぱいの学校づくりを開始。委員会を中心に157人の全校生徒が日々花壇の手入れをしています。花壇のデザインに生徒の意見を取り入れ、猛暑の中でも花壇が活き活きとしており、土づくり、健全な自家生産苗、栽培管理の適切さなどが際立っています。余剰苗は地域や役所等に配布し交流を広げ、地域社会との協力関係も良好など、中学校としての取り組みが大変高く評価されました。
以上、第34回を迎えた全国花のまちづくりコンクールの審査講評を終わります。