桜図鑑 さくらずかん 380種の桜の情報をお楽しみください。

日本花の会

日本花の会創立50周年記念 新品種『舞姫』
日本花の会創立50周年記念 新品種『舞姫』

日本花の会創立50周年記念 新品種『舞姫』の紹介

日本花の会では創立50周年を記念して、新しい桜の品種を作出しました。 その新品種の桜の名称は公募により『舞姫』に決定し、2012年の秋から皆様のお手元に届くように、当会の結城農場で量産を開始しています。

このページでは、新品種『舞姫』の特性や誕生までの経緯を紹介いたします。

『舞姫』の特性

創立50周年記念 新品種『舞姫』
創立50周年記念 新品種『舞姫』

花で覆われて開花する八重桜

多くの八重桜は葉が出てから開花しますが、『舞姫』は染井吉野と同じように葉が出る前に花が咲きます。 そのため、樹全体が花で覆われる観賞性の高い桜です。 また、寿命が長く、病気に強いエドヒガン系の品種なので、『染井吉野』で問題となっている「てんぐ巣病」にも罹りにくいと推察されます。 このように『染井吉野』のやや後に開花するやや早咲きの八重桜として、『舞姫』は桜の名所づくりに適した品種です。

『舞姫』(マイヒメ Cerasus 'Maihime')

樹形は盃状、樹高は高木性、樹幹は灰色、成葉は狭長楕円形、先端は鋭尖形、基部はくさび形、鋸歯は単鋸歯で鋭形。表面は濃緑色で毛は無い。 葉裏面および葉柄は有毛、葉身基部に蜜腺がある。 花序は散形状で2〜3花、花の向きは横向き、八重咲で花の直径は約3.7pの中輪、花弁は長楕円形で約15個、 蕾の色は紅色(JHSカラーチャートNo.9505鮮紫ピンク)、花色は淡紅色(同No.9502淡紫ピンク)。雌ずいは1〜2本、葉化はしていない。 花柱は有毛、がく筒の形は壺形、花の香りは少し有、開花後に展葉、『染井吉野』よりやや遅れて開花する。

なお、『舞姫』は種苗法に基づく農水省・品種登録品種です。増殖等の利用に当っては当会の許諾が必要です。(品種登録出願番号第20923号)

『舞姫』誕生のきっかけと経緯

結城農場桜見本園 350種類の桜

当会の結城農場(茨城県結城市)には、350種類の桜を集めた桜見本園があります。 桜見本園は春の開花時期に一般に公開もしており、多くの見学者で賑わいます。 この期間中、来園された皆さんから「桜はなぜ、このように多くの品種があるのか?」という質問をよく受けます。 「桜は異なる品種間で交配して種子ができ、そこから育った桜は両親とは異なる花を咲かせます。 また、桜は変化する性質が強いため、このように多くの品種が誕生してきました。」と解説していますが、 ある日、「これだけ多くの品種の中で、ここで生まれた品種はどれですか?」という質問がありました。

当会では、様々な桜を栽培しながらその特性を調査し、名所づくりに適した 「花が美しく、丈夫で、特徴のある」桜を選抜して全国に提供してきました。 しかしながら、当会で作り出した品種はひとつもなかったため、この一言をきっかけに、新しい品種づくりに取り組むことにしました。

  • 結城農場桜見本園
    結城農場桜見本園
  • 結城農場桜見本園

新しい桜の作出・『舞姫』の母親品種

母親にあたる『八重紅枝垂』
母親にあたる『八重紅枝垂』

品種を作り出す方法は色々とありますが、美しい桜の種子からはさらに美しい桜が誕生することが多いとされています。 1997年6月に園内の19種類21個体の桜から合計200粒ほどの種子を採り、翌年3月に播種しました。 発芽後、育成した57本の苗木の中から田中秀明農場長が選抜して『舞姫』が誕生しました。 種子を採った母親にあたる品種は『八重紅枝垂』という品種です。

『舞姫』の名称決定までの経緯

名称の公募(会報誌「花の友」)
名称の公募(会報誌「花の友」)

全国の皆様に『舞姫』が広く受け入れてもらえることを願って、 当会の会報誌「花の友」やホームページを通じて新しい桜の名称を公募しました。 全国から84件の応募があり、 その中から@新しい桜をイメージできること、A親しみを感じること、B呼びやすいことを条件として14件に候補を絞り込み、 検討を重ねた結果、備前様からご応募いただいた『舞姫(マイヒメ)』に決定いたしました。

備前様のコメントによると、「会報誌に掲載された新しい桜の写真を見て、 明治時代に鹿鳴館などでフリルのあるドレスを着て舞い踊る貴婦人の姿が連想され、この名前がパッと思いつきました。」 ということです。

国への品種登録

品種登録証
品種登録証

@既存の品種と明らかに区別されること、A既存の品種と名前が紛らわしくないこと、などの要件を満たすと、 国に新しい品種として登録することができます。 今後、舞姫を全国に広く提供するにあたり、国への新品種としての登録を目指して出願しました。 その結果、『舞姫』が既存の品種と明確に区別されることが認められ、2011年8月に新品種『舞姫』として品種登録されました。

『舞姫』のお披露目

『舞姫』のオーナメント
『舞姫』のオーナメント

新品種の桜『舞姫』は2012年5月29日に行われた当会の創立50周年記念式典でお披露目されました。 農場長が『舞姫』の特性や誕生の経緯について説明した後、名付け親の備前様へ記念品(『舞姫』のオーナメント)が贈呈されました。

  • 創立50周年記念式典の様子
    創立50周年記念式典の様子
  • 創立50周年記念式典の様子
    創立50周年記念式典の様子

『舞姫』による桜の名所づくり

『舞姫』の植樹

『舞姫』を広く知っていただくため、森鴎外の生家(島根県津和野町)、 千鳥ヶ淵緑道(東京都千代田区)、上野公園(東京都台東区)に『舞姫』の大苗を植樹しました。

島根県津和野町への植樹は、文豪 森鴎外の小説『舞姫』に因んだものです。 平成24年3月に開催された森鴎外生誕150周年式典において、森鴎外の生家に『舞姫』を記念植樹しました。 この記念植樹を皮切りに、道の駅や子どもの誕生記念樹として『舞姫』を贈呈することなど、 『舞姫』を用いたまちづくりが進行しています。

今年の秋からは、桜の名所づくりを進めている全国の皆さんを中心に『舞姫』の苗木を希望する方に提供していきます。 将来、『舞姫』による名所が各地に誕生し、花を楽しむ喜びをともにする場として、広く、愛されていくことを願っています。

  • >森鴎外の生家(島根県津和野町)
    森鴎外の生家(島根県津和野町)
  • 森鴎外の生家(島根県津和野町)
    森鴎外の生家(島根県津和野町)
  • 千鳥ヶ淵緑道(東京都千代田区)
    千鳥ヶ淵緑道(東京都千代田区)
  • 上野公園(東京都台東区)
    上野公園(東京都台東区)