桜の名所づくり
2025全国さくらシンポジウムin恵那
2025全国さくらシンポジウムin恵那 ~ 未来へつなぐ恵那のさくら ~

県立自然公園・恵那峡の桜(写真提供:恵那市)
2025年4月4日(金)・ 5日(土)
恵那市は、昨年完成100周年を迎えた大井ダム建設により、急流がせき止められ静かな湖へと生まれ変わった恵那峡の桜をはじめ、四季折々の美しい景観で知られています。パネルディスカッションのほか、恵那ゆかりの植物学者・三好学博士の曾孫・石田 仁氏による記念講演「近代植物学の旗手・三好学の素顔〜その生涯と天然記念物にかけた情熱〜」も行われました。
プログラム
4月4日(金)シンポジウム 会場:恵那文化センター大ホール
シンポジウムには約500名が参加し、交流会後には希望者がライトアップされた恵那峡の夜桜を見学しました。
パネルディスカッション
「未来へつなぐ恵那のさくら」
渡會 充晃氏(恵那市観光協会 岩村支部 支部長)
田中 訓氏(恵那峡公園 樹木管理者「幸園」)
樋口 舞氏(恵那市観光協会 恵那峡支部)
犬童 眞二氏(独立行政法人 水資源機構 木曽川上流ダム総合管理所長)
地域活性化の視点で行われたパネルディスカッションでは、それぞれの立場で恵那の桜と関わるパネリストが、恵那の桜の現在と未来に向けて思いを語りました。
恵那峡公園の桜を管理する田中氏は、当会指導のもと、樹勢が衰退している老木の切り戻しにより若い芽を育てる更新剪定を紹介しました。公園内に自生する多様な植物を傷つけないよう、また園路と傾斜地で剪定の仕方を変えるなど工夫しながら、市民の「目」も借りて病害虫の発生にも注意しつつ、10年、20年後を見据えて今ある木を大切に維持管理していきたいと語りました。
恵那峡で祖母から継いだ店を営む樋口氏は、観光地の恵那峡に桜が果たす役割の大きさと、水辺にあって非日常的な雰囲気を味わえる点が恵那峡の桜の魅力と語ります。大井ダム完成から約60年後に桜が植えられた歴史を知るとより桜への思いが深まると共に、恵那峡の植物分布図を作成したいとの構想も。一方、市街地から近い阿木川ダムも桜の名所の一つであり、犬童氏は洪水調節、河川環境の保全、新規利水の供給という目的を持つ阿木川ダムについて、またダム周辺の桜の管理について紹介しました。
岩村城跡をはじめ多くの史跡が残る岩村町は、植物学者・三好学博士ゆかりの地としても知られます。渡會氏は、国の天然記念物〈中将姫誓願桜〉(原木・岐阜市願成寺)の種子が宇宙で発芽し生長の速さが話題を呼んだこと、その原木のクローン2本が昨年岩村町内に植樹されたことを紹介し、桜に限らず観る者を癒す植物を観光資源として活かしていきたいと話しました。
大井ダムの歴史と共にあり、地域活性化の貴重な資源でもある恵那の桜を未来に引き継ぐために、市民と協働による桜の保全活動が大切です。
パネルディスカッションの様子
ライトアップされる恵那峡の夜景
(写真提供:恵那市)

三好学博士(写真提供:恵那市)
恵那ゆかりの植物学者 桜研究の第一人者・三好学博士
1861年、岩村藩・江戸藩邸で生まれ、幼年を岩村で過ごした三好学博士は、帝国大学(現東京大学)理学部、大学院を経てドイツ留学国後、35歳で東大教授に就任。日本の植物学の基礎を築き、桜と菖蒲研究の第一人者として知られたほか、天然記念物の保護にも尽力しました。
シンポジウム開催記念 ‘舞姫’の植樹
大井ダム完成100周年記念事業のフィナーレを飾るシンポジウム開催記念として、当会作出の‘舞姫’が恵那峡公園桃介広場に植樹されました。
‘舞姫’ 植樹式(写真提供:恵那市)
4月5日(土)現地見学会
現地見学会には79名が参加、「岩村町(三好学像、中将姫誓願桜、岩村歴史資料館)」「東野(阿木川ダムの桜並木、ダム堤体からの市街地の眺望)」「恵那峡(恵那峡公園周辺、恵那峡さくらまつり会場)」を巡り、恵那の桜の魅力に触れました。
三好学博士像(岩村町)
岩村歴史資料館前(岩村町)
三好博士ゆかりの地に植樹された
‘中将姫誓願桜’(岩村町)
阿木川ダムより市街地の眺望を
楽しむ参加者(東野)
恵那峡公園の樹木管理について
解説を受ける(恵那峡)
当日の桜の様子(恵那峡)