桜の名所づくり
国指定天然記念物 山高神代ザクラの樹勢回復
樹勢回復工事
調査結果を受け2003年2月より樹勢回復工事を開始しました。
当会はこの工事の実施設計・施工管理を武川村教育委員会より任されています。ここでは固結、盛土された土壌を生物性と養分に富む土壌に入れ替えることで、土壌環境を改善し樹勢回復につなげる手法を選択しました。計画年次は4年間です。
工事では短・中期的な樹勢回復効果を期待し、ネコブセンチュウ病に侵されながらも表層部に発達していた根を有用な微生物と養分に富んだ土に入れ替えることで、病気を抑えながら新たな根が伸張できるものとしました。また、長期的な効果としては、伸張した根が将来太根となった後も神代ザクラを支持でき、今後数百年間にも耐えられる植栽基盤となる土づくりをしています。
植栽基盤づくりのコンセプト
【現況】
地山の上に硬く締まった層と盛土された層があります。健全な土壌環境を作るために先ずこれを取り除きます。
【樹勢工事直後】
土壌改良材を混ぜた赤土で埋め戻し、さらに地表部には養分と有用微生物に富んだ培養土を敷きました。これにより短期的にはネコブセンチュウの防除と細根を発達させ早期の養分供給を図り、長期的にはかろうじて生きている古い根の再生を図ります。
【工事の十数年後】
当初発達した細根は中径根以上となり、その下の古い根からも新たに根が発達し、山高神代ザクラの樹勢回復を支えます。
樹勢回復工事
工事は地元の(株)雲松園(小林稔蔵樹木医)が担当しています。根を傷めないように慎重を期して根元の土を掘り上げます。
根元には生きた太い根が存在していました。これらの根を樹勢回復に積極的にいかすのがこれからの課題です。
検討委員会・専門委員会
工事の合間に「山高神代ザクラ樹勢回復検討委員会・専門委員会」を開催しました。委員には樹勢回復の手法や工事の状況を確認してもらい新たな助言をいただきます。地元の住民の方も加わり、サクラの行方を心配されています。
工事の成果
【2004年6月】
工事も2年目が終了し、樹冠下部の枝は勢い良く伸び、葉の枚数も多くなってきました。危機的な状態は脱したと思っています。しかし、上部の枝の枯れは止まらず予断は許しません。今後も注意深く見守る必要があります。
工事の成果は徐々にですが着実に現れています。新枝の伸長は前年の約2倍、根は今までにない発根量を示しました。
【2004年の開花状況】
花の量は例年よりも多く感じました。