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桜の名所づくり

長野県富士見町指定天然記念物 高森観音堂の枝垂桜の樹勢回復

樹勢衰退の要因

数年前から樹勢の著しい衰退が見られ、富士見町からの依頼を受けて、2007年5月11日に樹勢衰退の原因を探るべく、調査をおこないました。

地上部の状況 (2007年)

  • 写真:地上部の状況
    ●東側
    樹幹上部の太枝はほとんどが枯死していました。
  • 写真:地上部の状況
    ●枝枯れの状況
  • 写真:地上部の状況
    ●枝枯れから腐朽している状況
  • 写真:地上部の状況
    ●主幹の空洞

地下部の状況 (2007年)

  • 写真:地上部の状況
    ●土壌断面調査により、表層に細根が確認されました。病気の罹病は確認されませんでしたが、根の量は乏しい状態でした。
  • 写真:地上部の状況
    ●北側にも太根の発生は確認されなかった。地中40㎝付近にはイチョウの中径根が確認されました。
  • 写真:地上部の状況
    ●南側に伸びた太根は1m先に石垣があるため、地中に潜り込むように伸びていました。

樹勢衰退の原因

調査の結果、土壌は表層とそれ以下では土質が異なることが判明しました。 表層は根の伸長を促すために盛土されたものと思われます。 その際、石垣の積み直しや石造の柵の取替え工事などで根が傷つき、 根株心材腐朽が主幹まで達して樹勢が衰退したと考えられました。
また、表層の腐葉土は乾燥気味で、その下のローム層は粘性が高く湿った状態であることも確認されました。 空隙の大きさの違いなどによって土壌水分の移行ができていないと考えられ、表層の土壌に発生した細根は乾燥によって十分に伸張できず、 ローム層に伸びていた太根には根腐れや腐朽が進行し、主幹の上部や太枝の枯死を招いたと推察されます。

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